1. 第94期部門長就任のご挨拶
第94期部門長 細野繁(NEC)
この度,第94期部門長の大役を務めさせていただくことになりました.大久保雅史 副部門長,野中朋美 幹事をはじめ,運営委員会委員,アドバイザリーボード,部門に所属する皆様,事務局員の皆様とともに,さらなる部門及び学会の発展に向けて努力致します.何卒よろしくお願い申し上げます.
私は企業でITシステムの設計方法論やライフサイクル管理の研究開発に携わっています.このような情報系の活動と,日本機械学会で議論されている話題とは,およそ接点が無いように思われることが多く,私自身もかつてそう感じていました.ところが,Webサービスの開発方法の研究開発を日々,進めていくにつれ,あるとき,モノの組み立て方と,Webサービスの組み立て方は共通する概念が多いことに気づくこととなりました.従来,ITシステムやWebサービスの構築は,主にアプリケーションソフトウェアを実装することに重きが置かれていました.しかし,クラウドのようにアプリケーションソフトウェアやハードウェアがネットワークを通じて機能としてサービス提供されるようになると,これらの機能を効果的に組み合わせる方法が重要となります.この機能の組み合わせる手順は,ものづくりの世界で取り組まれてきたモノの設計方法と通じるものがあります.そこで,モノの設計方法をWebサービスの設計方法に転じ,適用し,Webサービス構築の生産性を大きく向上しようと試みているところです.クラウドの普及というきっかけから,業種・業界を超えて,モノづくりの発想・思考を転じることに,面白さと可能性を感じて活動を続けています.
以上のように,研究開発の過程で,本部門の活動から設計工学やシステム工学の考え方を学んできました.本部門は,業種・業界を超えて,交流の場を広く提供しています.設計工学・システム工学の議論は,産業界に広く有用です.そこで,産業界の視点で,大学・研究機関と多分野の業界との交流を益々拡げていくよう努めてまいります
本部門が対象とする分野及び領域は,設計工学・設計方法論・設計学,設計知識,製品開発・情報管理,設計組織,システム工学,ヒューマンインタフェース,人工物工学の展開,新しい人工物など,極めて広範囲にわたっております.Delight設計など,今後の設計工学・システム技術の進展への貢献はもちろん,これまでの部門活動の活性化の波に乗って,強力に部門活動を推進していきたいと考えております.本部門が魅力ある交流の場として部門活動への皆様の積極的なご支援・ご協力を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.