ニューズレター

2012年度の設計工学・システム部門講演会では,オーガナイズド・セッションと一般セッション,D&Sコンテストが実施されました.本ページでは,各セッションの座長の方に当日のセッションの様子を報告いただき,紹介します.

発行:2013/4/27
ページ製作・編集 D&S広報委員会

第22回設計工学・システム部門講演会 オーガナイズド・セッション報告

OS-2 デザイン科学とタイムアクシス・デザイン

  • オーガナイザー: 松岡由幸(慶應大),村上存(東大),綿貫啓一(埼玉大),氏家良樹(慶應大)
  • 座長: OS-2 松岡由幸 (慶大), 綿貫啓一 (埼大)

OS-2 デザイン科学とタイムアクシス・デザイン

本セッション:「デザイン科学とタイムアクシス・デザイン」では、4名の講演者の方々から、デザインにおける時間軸の重要性に関する考察、多空間デザインモルに基づく品質機能展開の提案、タイムアクシス・デザインとその具現化に向けたデザイン方法論、および走行場の時間軸変動に対応した創発型のハイブリッド自動車制御システムの提案に関する話題をご提供いただいた。中心的な議題は、人の創造的な行為を説明するデザイン科学に基づいた新たな設計方法と人工物の時間軸変化を考慮するタイムアクシス・デザインの理論・方法論とそれらの具体的な事例適用であり、人工物やその状態の時間軸変化に対するロバスト性やタイムアクシス・デザインによる今後のモノ・コトづくりの方向性について活発な議論がなされ、本セッションへの関心の高さが伺えた。

松岡由幸(慶應義塾大学)

OS-7 近似最適化

  • オーガナイザー: 荒川雅生(香川大),北山哲士(金沢大)
  • 座長: OS 7-1 北山哲士(金沢大), OS 7-2 花原和之(神戸大), OS 7-3 荒川雅生(香川大)

OS-7 近似最適化

近似最適化のセッションでは13件の講演が行われた.

近年盛んに研究が行われているメタモデリングの比較研究や塑性加工分野を対象とした逐次近似最適化の応用研究事例等,国際的な流れにも合致した講演が多く行われた.多目的最適化では,データ包絡分析法を用いてパレートフロントを可視化する方法が提案され,大変興味深いものであった.応答曲面材料パラメータ同定に使う研究やアントコロニー最適化法をハブ空港配置問題へ適用し,現状のデータを裏付ける結果を示す研究,さらには,階層構造を利用した最短経路設計法に関する研究等,最適化技術を幅広い分野に応用しようとする研究が多く行われた.

北山哲士(金沢大)

OS-9 ライフサイクル設計とサービス工学

  • オーガナイザー: 下村芳樹(首都大),梅田 靖(阪大)
  • 座長: OS 9-1 青山和浩 (東大), OS 9-2 小林正和 (豊田工大), OS 9-3 福重 真一 (阪大), OS 9-4 木見田康治 (東理大), OS 9-5 高本仁志 (産総研)

OS-9-4 ライフサイクル設計とサービス工学 4 シナリオプランニング

本セッションでは,製品・サービスシステムにおけるシナリオプランニング手法に関する講演が計3件行われた.

具体的には,環境変動要因の抽出や,集合論を用いた記述方法などのシナリオ作成の方法論に関する研究や,電気自動車の普及シナリオなど具体的な事例を対象とした適用研究に関する発表が行われた.これらの研究は,いずれも,従来から工学分野において議論されてきた物理的製品のみを対象とするものではなく,製品が用いられる社会システムや,製品に付随するサービスもシナリオ記述の対象としている.これらの講演に関して,会場の参加者による活発な質疑応答が行われ,本テーマに対する関心の高さが伺えた.

木見田康治(東京理科大学)

OS-10 創発性と多様性の設計

  • オーガナイザー: 宮田悟志(ダッソー・システムズ・シムリア),佐藤浩一郎(慶應大),長坂一郎(神戸大)
  • 座長: OS-10 松岡由幸 (慶大), 宮田悟志 (ダッソー・システムズ・シムリア)

OS-10 創発性と多様性の設計

「創発性と多様性の設計」では、新たな価値、機能、および構造を創出可能な創発デザインに関する話題を中心として、5名の講演者の方々から、コンプライアントメカニズムを用いた衝撃吸収構造の創成に関する研究、計算と創発:共創的デザインシステムの試み、マン‐マシン・インタラクションを導入した多様解導出システム、新たな機能の組合せの創出を目的とした独立公理の導入、および引用ネットワーク分析を用いたS字カーブ創出方法の提案に関する話題をご提供いただいた。創発デザインの特徴であるボトムアップとトップダウンによる創発性を有した具体的な方法やシステムについて、実務、研究、および教育などの様々な視点から活発な議論がなされた。今後の様々な領域への創発デザインの応用と発展に期待したい。

松岡由幸(慶應義塾大学

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