開催日時:2012年8月12日(日)~15日(水)
会場:Hyatt Regency McCormick Place(米国・シカゴ)
主催:American Society of Mechanical Engineers
2012年8月12日から15日にかけて,アメリカ合衆国イリノイ州・シカゴのHyatt Regency McCormick Placeにて,ASME 2012 IDETC/CIEが開催された.配布資料によると,今年度は1087件のdraft papersが提出され,そのうち890件がacceptされたとのことであった.また,14日のランチ会場にて,41カ国以上の国から1,100人以上の研究者(うち約44%が学生)が本会議に参加したという報告があった. 本会議は,17th Design for Manufacturing and Life Cycle Conference (DFMLC),38th Design Automation Conference (DAC),36th Mechanisms and Robotics Conference (MR),今年度が第一回目となる1st Biennial International Conference on Dynamics for Design (DFD) など,合計10の会議で構成されている.初日の12日は11件のワークショップが開催され,13-15日の3日間は一般セッションおよび13件のkeynote lecturesが開催された.サービス工学に関する研究に従事している筆者らの研究グループは,DFMLC,DACにて論文発表を行ったことから,これら2つの会議および各種イベントなどを中心に報告する.
DFMLCは,製品・システムの生産や,ライフサイクルマネジメントのための設計の方法論やツールの開発などを主な対象テーマとしており,今年度で第17回目の開催となる.本会議は14のセッションからなり,56件の論文発表がなされた.筆者らの研究グループは,"Design for Supply Chain"と"Conceptual Design, Manufacturability Analysis, Manufacturing Cost Estimation, and Total Cost of Ownership"の2つのセッションで,サービスのモデリング・シミュレーション手法,サービスの故障モードの抽出法に関する2件の発表を行った.両セッションの発表内容は,ライフサイクルを考慮したモジュール設計,リバース・ロジスティクス,Manufacturability and Viability,後述するProduct-Service Systemsなど多種多様であり,様々な視点から活発な議論がなされた. DACは今年度で第38回目を迎える,Design Automationを主題とした会議であり,今年度のASME 2012 IDETC / CIEの中では,最も歴史がある会議である.本会議は,Design Representation / Design Optimization / Evaluation / Integrationの4つの主要なトピックを中心とした31のセッションからなり,124件の論文発表がなされた.筆者らの研究グループは,"Product-Service System (PSS) Design"にてPSS設計のための発想支援ツールに関する1件の発表を行った.PSSはサービス工学と深く関連する研究分野であり,各国の研究者が多数参加し,活発な議論がなされた.本研究分野の関心の高まりを実感した.
13日夜にはNavy PierにてConference Reception,14日夜には会議会場にて軽食を交えてのAwards ReceptionおよびCIEのポスターセッションが行われ,研究者同士の交流がなされた.
また,Student Mechanisms and Robotics Design Competition,The NSF/ASME Design Essay Competitionなどのコンペや,Student Networkingという懇親会が開催されるなど,学生対象のイベントが充実していた.国内の学生も機会があれば,ぜひとも次年度以降本会議に参加されたい.
なお,次年度の本会議は,2013年8月4日から7日までの日程で,米国オレゴン州ポートランドにて開催される予定である.
舘山 武史(首都大学東京)