ニューズレター

このページでは,設計工学・システム部門 Newsletter No.36の内容をお届けします (2012年 4月発行) .

発行:2012/4/12
ページ製作・編集 D&S広報委員会

講習会 No.11-117 「革新的ものづくりのための最適設計法入門」開催報告

山崎光悦(金沢大学),西脇眞二(京都大学),北山哲士 (金沢大学)

2011年11月24日,25日の2日間にわたり,日本機械学会会議室において「革新的ものづくりのための最適設計法入門」を2年ぶりに開催した.全受講生数は28名となっており,過去に行ってきた講習会と比較すると,学生の参加が比較的目立った.本講習会は学生・新入社員の教育の一環として企画されており,最適化技術を有益な設計技術として活用するための基礎知識について教示することに開催目的があり,20代から30代の技術者が多く参加している.

本講習会では,最適設計法に関する研究の第一線で活躍する研究者を大学・企業から講師として招き,各講師が携わる最適化技術の分野における知見についてわかり易く解説するように努めた.講習会資料とは別に,講師が使用するパワーポイントファイルを予習教材として受講者に事前配布し,当日の講義がより理解し易くなるようにしている点は特徴的であり,教材の充実度も高い.

以下に,講習会終了時に実施したアンケートによる受講者の評価,声を掲載して次回開催にむけての参考としたい.

【 本講習会全体について 】

【 資料全体の満足度 】

(受講者からの声)
  • 機械設計だけではなく,他分野の最適設計の内容を聞かせていただきたい.
  • 最適化という狭い分野で講習会があるのは貴重でありがたかった.

1.「CAEと設計の基礎」

最適化技術を活用する上で必要となるCADの形状モデリング技術やCAE技術について解説された.

(受講者からの声)
  • 分かり易くてよかった.
  • 見易い資料で,実際の適用事例が多く紹介されていた点が良かった.
  • 設計の押さえるべきポイントを再確認できた.
  • 歯車などの複雑な構造でも片もちばりのような簡易な構造の初等力学による解析が有効という話で,基礎的な物理の重要性を感じた.

2.「最適設計技術の基礎」

最適設計法の分類とその各種解法,設計感度解析法と近似最適化問題の構成など,最適化要素技術について解説された.

(受講者からの声)
  • 数理的な最適化については,大まかに理解することができた.
  • 数学的背景に関する説明が分かり易かった.
  • 最適化手法の概要が上手くまとまっていると感じた.
  • 1変数の問題から拡張して考えることでラグンジュアンやKKT条件が自然に導かれるところが非常に勉強になり,ラグンジュアンの定義がなぜ必要なのかがとても腑に落ちた.

3.「形状・形態(トポロジー)最適化の基礎」

形状および形態(トポロジー)最適化の基礎的な考え方と,その具体的な最適化問題の定式化や実装方法を,その応用例を交えて説明された.

(受講者からの声)
  • 内容は難しかったが,アニメーションで解析事例が示されており,インパクトがあった.
  • 難易度は高かったが,実例が多いのでイメージで理解できた.
  • KKT条件をグラフォカルに解釈する説明が非常に分かり易く参考になった.

4.「多目的最適化の基礎と応用」

複数の目的関数を同時に最適化し,パレート最適解を求める手法である多目的最適化手法についての基礎と,多目的最適化手法を使用する上で留意しなければならない点について説明された.

(受講者からの声)
  • 多目的最適化の基礎について平易に説明されており,非常に分かり易く勉強になった.
  • 多目的最適化は,自分にとって必要な内容だったので,大変参考になった.
  • トレードオフ分析手法の紹介は興味深かった.
  • 平易に講習を進めて頂けたと思う.また,個人的には非常にインプレッシブな内容だった.
  • パレート最適解集合を求める方法論として荷重和法と制約法しか知らなかったので,満足化トレードオフ法を知ることができ参考になった.

5.「応答曲面近似法と大域的最適化」

実用的な時間内に設計者が最適解を得るための有効な方法である応答曲面近似の基礎や適用事例について解説された.

(受講者からの声)
  • 応答曲面について詳しく知りたかったので参考になった.
  • 実例もあったので応答曲面法について良く理解できた.
  • 資料が充実しているので勉強します.
  • 計算コストを大幅に低減できる応答曲面近似値法は有効であると思うので今後の業務に応用していきたい.

6.「信頼性・ロバスト設計法の基礎と応用」

不確定性が構造に及ぼす影響を考慮するための設計法として,不確定性を確率変数としてモデル化する「信頼性に基づく最適設計」および非確率量としてモデル化する「ロバスト設計」について説明された.

(受講者からの声)
  • 難しい内容だけど全体像がつかめて有効だった.
  • 量産の実務で重要であり,戴いた資料で勉強してゆきます.
  • 信頼性は数学的に厳密で確率的な取扱をし,ロバスト設計は数学的にはあいまいで平均値と分数が重要な性能指標であるという基礎的なところは理解できた.
  • 興味深く聞かせていただいた.

7.「最適設計支援ツールの最新トピックスの活用事例」

今日広く普及し始めている汎用最適化ソフトを活用する上で理解する必要がある最適化独自の視点や特徴について解説され,最適化ソフト活用のポイントが説明された.

(受講者からの声)
  • 内容が実務的かつ説明が順序だっており,非常に分かり易かった.
  • 理論との関係が分かってよかった.
  • 分かり易い御紹介でした.
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