ニューズレター

このページでは,設計工学・システム部門 Newsletter No.35の内容をお届けします (2011年10月発行) .

発行:2011/10/14 改版:2011/10/14
ページ製作・編集 D&S広報委員会

9th World Congress of Structural and Multidisciplinary Optimization(WCSMO09)参加報告

The 9th World Congress on Structural and Multidisciplinary Optimization(WCSMO9)は,静岡県静岡市のグランシップにおいて,6月13日~17日の5間の日程で開催され,構造最適化と多領域解析の分野に関する幅広いテーマについて講演が行われた.本会議におけるセッション名と発表件数を次に示す.

セッション名 件数
Structural Optimization 28
Shape and Topology Optimization 55
Surrogate-based Optimization 8
Evolutionary Algorithms 5
Numerical Optimization Techniques 9
Robust and Reliability-based Design Optimization 14
Multidisciplinary and Multiphysics Design Optimization 16
Multi-objective Design Optimization 6
Optimization in Emerging Areas 10
Application 31

発表件数を比較すると,形状最適化,トポロジー最適化のセッションにおける講演が最も多い.講演題目を外観すると,構造最適化やアプリケーション等のセッションにおいてもトポロジー最適化関連の講演が多く,トポロジー最適化に関連した研究が活発であったと言える.トポロジー最適化の方法論としては,レベルセット法に基づく方法が注目されており,均質化設計法,密度法に続く第三の手法として定着しつつあるように感じた.解析手法としては,有限要素法を用いることが一般的であったが,拡張有限要素法や境界要素法,メッシュフリー法等の各種計算力学手法を有機的に用いた方法論が注目を集めており,今後もこのような傾向は続くものと予想される.応用例としては,ボルツマン方程式を用いたナノ構造物の構造最適化やクローキングデバイスの構造最適化等,今までにはない新しいデバイスの創成を目的とした研究が数多く報告されていた.また,最適化アルゴリズム,多目的最適化,ロバスト性や信頼性を考慮した最適化などの研究も盛んに行われていた. 4日目午後に行われたGeneral Assemblyにおけるパネルセッションでは,以下の話題で研究動向の総括的な報告が行われた.

  • Reliability/Robust Based Design Optimization: Sankaran Mahadevan (Vanderbilt University)
  • Bio-inspired/Non-gradient Based Optimization: Koetsu Yamazaki (Kanazawa University)
  • Topology and Generalized Shape: New Trends: James K. Guest (Johns Hopkins University)
  • Approximation Assisted Optimization: Dong-Hoon Choi (Hanyang University)

その後,Springer Prizeの受賞者の発表が行われ,小生が選出された.そして,「“A New Level Set-Based Topology Optimization Method Using a Fictitious Interface Energy Model Based on Phase Field Method Concepts” And Recent Advancements」と題して,授賞内容及び,その展開に関する講演を行った.最後に,ISSMO(International Society for Structural and Multidisciplinary Optimization)のExecutive Committeeの選出に関する投票結果の発表があった.日本からは,金沢大学の山崎光悦先生が選出され,日本人として初めてExecutive Committeeに選出されたことになります.これを機に,我国から世界を先導してゆく研究成果がより多く報告されることを期待したい. 最後に,本会議は,東日本大震災直後の混乱の中,準備が進められてきましたが,盛況に行われました.会議の運営に関わったすべての方々に感謝するとともに,参加して頂いた国外の研究者の方々に深く感謝致します.

山田 崇恭(名古屋大学)

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