ニューズレター

このページでは,設計工学・システム部門 Newsletter No.34の内容をお届けします (2011年 4月発行) .

発行:2011/4/15 改版:2011/5/23
ページ製作・編集 D&S広報委員会

エコデザイン2010ジャパンシンポジウム 開催報告

開催日時:2010年12月7~9日
会場:芝浦工業大学豊洲キャンパス(7,8日),東京ビッグサイト会議棟(9日)
主催:エコデザイン学会連合
協調開催:エコプロダクツ2010

エコデザインシンポジウムは,1999年開催の国際シンポジウムを皮切りに,国内・国際シンポジウムがそれぞれ隔年で交互に開催され,エコデザイン分野における産業界とアカデミアの連携の推進役となってきた.エコデザイン2010ジャパンシンポジウムでは,この役割を再確認するとともに,特に産業界におけるエコデザイン研究の成果とこれからの課題を整理するため,従来の学術講演中心のセッションに加えてパネルディスカッションや参加者全員によるグループディスカッションが企画された.

初日のパネルディスカッションでは,様々な産業セクターを代表するパネリストが,クロスインダストリーおよびサプライチェーンにおける課題と改善案についてスピーチし,その後「エコデザインで産業界がさらに活性化するためには何が必要か?」を主題とした討議が行われた.エコデザイン活動10年間の成果として,産業分野・学術分野別の個別研究は進展してきているものの,今後は持続可能社会に向けた制度設計や社会システム設計の視点も取り入れながら,企業の役割や新しい産学連携の形を明確化する必要があることなどが議論された.

2日目の午前は,シンポジウムの参加者全員が3つのグループに分かれ,各グループに与えられた課題についてディスカッションを行った.具体的には,将来におけるエコデザインと企業のあり方を模索し,各界に対して何らかの提言を行うことを企図して,「企業成長のパラダイムシフト」「企業活動による社会矛盾の解決」「企業活動と社会システム・制度設計」の3つの課題に対して議論が戦わされた.午後には,各グループで議論された内容を総括し,提言としてまとめるため,全員が一堂に会しての発表・質疑が行われた.ここでは,「グローバル経済化による産業の海外移転は環境問題の他国への押し付けではないか?」「そもそも企業活動と環境負荷とは切り離せないものであり,経済活動の拡大志向そのものの是非を問わなければならないのではないか?」「本当の意味での豊かな社会や生活のあり方とは?」といった,当初のテーマを超えたより包括的な視点からの問題提起がなされ,真の意味での持続可能社会を実現するためには,新たな価値創造も含めた「デザイン」が必要であることなどが提言としてまとめられた.

また2日の午後と3日目にはパラレルセッションが企画され,持続可能社会シナリオを基盤とした事業戦略シナリオの作成支援,バイオミメティック接合技術,ゼロエネルギーハウスの実践,ヘルスインデックスによる環境影響評価,LIMEによる評価の比較などに関する25件の講演発表がなされた.最後に,エコプロダクツ大賞等の受賞者による事例発表会が行われた.

次回の国際シンポジウムEcoDesign2011は,2011年11月30日から12月2日にかけて京都で開催される予定である.「持続可能社会に向けた価値イノベーションのためのデザイン」をテーマに,幅広い分野の研究者・企業関係者による基調講演やセッションが企画されており,新たな局面を迎えた「エコデザイン」の国内外における最新の研究発表・事例報告がなされる予定である. 詳細は以下のページを参照して頂きたい.

報告者:福重真一(大阪大学)

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