開催日:2010年11月25日,26日
会場:産業技術大学院大学(東京都品川区)
共催:精密工学会(幹事学会),日本機械学会,日本設計工学会,日本建築学会,日本デザイン学会,人工知能学会
協賛:The Design Society, 横断型基幹科学技術研究団体連合, International Association of Societies of Design Research
2010年11月25日(木),26日(金)の両日,東京都品川区の産業技術大学院大学にて,Designシンポジウム2010が開催されました.本シンポジウムは,「設計」や「デザイン」を包含する上位概念としての"Design"を対象とした学会横断型のシンポジウムとして2004年より隔年で開催されているもので,今回は精密工学会を幹事学会とし,日本機械学会,日本設計工学会,日本建築学会,日本デザイン学会,人工知能学会の6学会による合同共催という形で開催されました.Designシンポジウム2010では,多様な専門・立場の参加者による講演・議論を通して"Design"という共通の問題に対する理解を深め,「議論の場の形成」を目指す,という趣旨のもと,「デザイン縦横無尽」というキャッチフレーズがかかげられ,1件の基調講演,2件の招待講演および1件のパネルディスカッションが企画されました.また,一般講演は12の講演セッションで85件が行われ,シンポジウム全体では講演者・聴講者を含め,約120名の方にご参加いただきました.
初日である25日は,「CG・インタフェースデザイン・メディアデザイン」「教育」「ユーザビリティ・感性」「Design理論・方法論」「CAD/CAM/CAE」「空間デザイン」「サービス工学・ライフサイクル・エコデザイン」という7つの講演セッションが行われました.各セッションは,多様な分野の研究者間で意見交換ができるよう,講演者の所属学会が偏らないように組まれており,分野にとらわれない多様な視点での活発な議論が行われました.
また,「Designシンポジウムの未来 - 若手研究者が描く横断的共創の設計図 -」という題目で,若手研究者によるパネルディスカッションが行われました.司会は本シンポジウムの実行委員長である下村芳樹先生(首都大)が務め,パネリストは各共催学会から柳澤秀吉先生(東大,日本機械学会),大髙敏男先生(国士舘大,日本設計工学会),本江正茂先生(東北大,日本建築学会),小野健太先生(千葉大,日本デザイン学会),來村徳信先生(阪大,人工知能学会),妻屋 (神戸大,精密工学会),が選出されました.前半は各パネリストがご自身のご研究内容も含めた周辺分野の研究動向やDesign分野における横断的共創の方法に関する見解等を発表し,後半は分野横断研究の可能性を探るということで,分野横断型のシンポジウムであるDesignシンポジウムの今後の方向性を題材に,若手研究者の立場から活発な議論がなされました.
また,同日は会場近くの「ブッフェレストラン シーサイドichiba」にて,懇親会が開催され,異分野の研究者間で様々な意見交換がなされました.
二日目の26日は,初日から引き続く2セッションならびに「発想・創発・創造支援」「Design知識・情報」「コラボレーション・インタラクティブデザイン,ユニバーサルデザイン」「情報デザイン」「製品開発・開発事例」という5つの講演セッションが行われました.
そして,同日は基調講演ならびに招待講演が行われました.基調講演は,「デザインと価値論」というタイトルで,産業技術総合研究所の上田完次氏により,「人工物価値論」などについてご講演いただきました.続いて,招待講演として,フューチャーアーキテクト株式会社の碓井誠氏から,「価値供創社会のデザイン・イノベーション」,株式会社ワークヴィジョンズの西村浩氏から,「変わりゆく価値,変わらない価値」というタイトルでそれぞれご講演いただきました.これらの3件のご講演は,「価値」と「デザイン」という共通のキーワードに基づいた内容であり,それぞれの講演者の視点から,大変興味深いお話をしていただきました.
次回のDesignシンポジウムは,2012年度頃に開催される予定ですので,皆様にご参加を検討いただければ幸いです.最後に,ご参加いただいた皆様,運営にご協力いただいたアルバイトの皆様,共催学会・協賛団体の皆様,そしてDesignシンポジウム2010運営委員会の皆様に,この場をお借りして厚く御礼申し上げます.
報告者:妻屋彰(神戸大学),舘山武史(首都大学東京)