No.09-70 講習会「革新的ものづくりのための最適設計法入門」
                  開催報告

開催日:2009年9月7,8日
会場:早稲田大学理工学術院キャンパス

2009年9月7日,8日の2日間にわたり,早稲田大学理工学術院キャンパスにおいて「革新的ものづくりのための最適設計法入門」を昨年度に引き続き実施した.今年度は100年に1度の経済不況といわれる最中,全受講生数は19名と,昨年度の61名と比して大幅に減少した.本講習会は学生・新入社員の教育の一環として企画されており,最適化技術を有益な設計技術として活用するための基礎知識について教示することに開催目的があるが,企業からの参加者の勤務年数は1 年から25年以上と幅広い層が受講し,また2回以上の受講生数が6名もあり,最適化技術の必要性,根強い関心の高さを物語るものであった.

本講習会では,最適設計法に関する研究の第一線で活躍する研究者を大学・企業から講師として招き,各講師が携わる最適化技術の分野における知見についてわかり易く解説するように努めた.昨年同様,講習会資料とは別に,講師が使用するパワーポイントファイルを予習教材として受講者に事前配布し,当日の講義がより理解し易くなるように配慮した.また,教材の充実度も高いことが本講習会の特徴である.

以下に,講習会終了時に実施したアンケートによる受講者の評価,声を掲載して実施報告,次回開催の参考とする.

【 講習会全体の満足度 】

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【 資料全体の満足度 】

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(受講者からの声)

  • 構造解析については専門ではないので詳しいことについては分からなかったが,最適化の手法や考え方については非常に参考になった.
  • 事例と具体的適用手順等わかりやすく説明していただけてよかった.

また,本講習会の講義内容の概要および受講者の声は以下の通りである.

  1. 「CAEと設計の基礎」
     最適化技術を活用する上で必要となるCADの形状モデリング技術やCAE技術について解説された.
  2. (受講者からの声)

    • 大変分かりやすかった。消化不良を起こすことなく、十分に講義の内容についていけた.
    • 「初等理論による基礎的な考察を軽視する傾向が強い」とのご指摘はまったく同感.

  3. 「最適設計技術の基礎」
     最適設計法の分類とその各種解法,設計感度解析法と近似最適化問題の構成など,最適化要素技術について解説された.
  4. (受講者からの声)

    • 全体のイメージを捕らえることはできたので満足している.
    • 最適設計について分類を明確にしながら説明していただけたので大変分かりやすかった.

  5. 「信頼性・ロバスト設計法の基礎と応用」
     不確定性が構造に及ぼす影響を考慮するための設計法として,不確定性を確率変数としてモデル化する「信頼性に基づく最適設計」および非確率量としてモデル化する「ロバスト設計」について説明された.
  6. (受講者からの声)

    • 信頼性解析とロバスト設計に重点が置かれており,理解が深まった.

  7. 「多目的最適化の基礎と応用」
     複数の目的関数を同時に最適化し,パレート最適解を求める手法である多目的最適化手法についての基礎と,多目的最適化手法を使用する上で留意しなければならない点について説明された.
  8. (受講者からの声)

    • 多目的最適化手法について分類しながら説明していただけたので大変分かりやすかった.

  9. 「形状・形態(トポロジー)最適化の基礎」
     形状および形態(トポロジー)最適化の基礎的な考え方と,その具体的な最適化問題の定式化や実装方法を,その応用例を交えて説明された.
  10. (受講者からの声)

    • 形状及びトポロジ最適化の実装方法と結果を長所・短所を交えて説明していただけたので分かりやすかった.
    • 最新の手法について話していただけたので興味深かった.

  11. 「応答曲面近似法と大域解探索の基礎」
     実用的な時間内に設計者が最適解を得るための有効な方法である応答曲面近似の基礎や,大域解探索の手法について,事例を交え解説された.
  12. (受講者からの声)

    • 応答曲面近似についてざっくばらんに話していただけたので感覚的に分かりやすかった.

  13. 「最適化ソフト活用の基礎」
     今日広く普及し始めている汎用最適化ソフトを活用する上で理解する必要がある最適化独自の視点や特徴について解説され,最適化ソフト活用のポイントが説明された.
  14. (受講者からの声)

    • ・ 実戦的な立場からの説明でとても分かりやすかった.

アンケートの中には,「最適設計の上級者コースを開設し,実設計に最適化を用いるにあたっての課題や克服の仕方,さらには最新の最適化手法理論の紹介や最適化手法の使い分けなどを説明していただきたい」など,積極的な意見もあった.本講習会は,受講者と講師の双方にとって,非常に実りのある講習会であったと思われる.最適化・最適設計に対するニーズは依然として高く,今後も機会を見てこの講習会を企画したいと考えている.

最後になりましたが,会場を提供の便宜を図っていただいた早稲田大学創造理工学部 山川 宏 学部長に感謝の意を表したい.

山崎 光悦・北山 哲士 (金沢大学)

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