更新:2020/4/24

このページでは、部門長挨拶、設計工学・システム部門の創設の背景と、この部門が対象とする分野および領域について紹介します。

第98期部門長挨拶
小木 哲朗(慶應義塾大学)
第98期部門長 小木 哲朗(慶應義塾大学)

2020年度、第98期の部門長を務めさせていただくことになりました。妻屋彰副部門長、大竹豊幹事をはじめ、運営委員会委員、アドバイザリーボード、部門を支えて頂いている皆様、事務局の皆様とともに、部門ならびに学会の更なる発展に向けて尽力して参りたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。特に現在は、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりを受け、さまざまな行動や活動が自粛や制限を受けている中でのスタートとなりますが、皆様のご協力のもとにできる活動から積極的に行っていきたいと考えています。
本部門が対象とする分野は、設計工学・設計方法論・設計学、設計知識、製品開発・情報管理、設計組織、システム工学、ヒューマンインタフェース、人工物工学の展開、新しい人工物など、多岐にわたっており、最近は人工知能、IoT、VR/AR等の新しい技術が設計の分野に取り入れられ、本部門の対象領域はますます拡大してきています。こうした部門の活動は、総務委員会、技術委員会、表彰委員会、広報委員会、講演会活性化委員会、産学連携活性化委員会、企画活動活性化委員会、学術誌編集委員会の各委員会や部門所属の各研究会、分科会を構成される皆様の活動に支えられています。こうした各種活動の更なる発展を目指し、また多くの会員方の参加および相互の交流の活性化につながるよう、務めて参りたいと思います。
本部門の定例行事としては、まず年次大会と部門講演会があります。今年度の年次大会は9月に名古屋大学で、部門講演会は11月に同志社大学で開催されます。多くの方々が参加され、会員相互の一層の交流の場になるよう期待しています。また国際会議としては、日中韓の学術交流を中心としたACDDE2020(Asian Conference on Design and Digital Engineering)が10月に中国の青島で、マレーシアとの学術交流を中心としたiDECON2020(International Conference on Design and Concurrent Engineering)が9月にマレーシアのコタキナバルで、ドイツとの学術交流を中心としたJGIoT-DAS2020 (Japan-Germany Symposium on IoT Design, Systems and Applications)が10月にドイツのデュイスブルクで開催される予定です。これらの会議は部門の国際交流活動の活性化を図る活動として定着を目指して参ります。また今年は、アメリカのASMEとの関係強化を進め、8月にセントルイスで開催されるIDETC-CIE 2020(International Design Engineering Technical Conference & Computers and Information in Engineering Conference)において、本部門との合同セッションを企画しています。この他にも、各種講習会が最新の技術動向の理解と普及に寄与する場として幾つか予定されています。多くの会員の皆様にとって交流を広げる機会となるよう、積極的な参加をお願いいたします。
また学術誌としては、和文誌の日本機械学会論文集、英文誌のMechanical Engineering Journal、Mechanical Engineering Reviews、Mechanical Engineering Lettersの各学術誌、本部門を含めた5部門合同で発行する英文ジャーナル誌のJAMDSM(Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing)を発行しています。特集号の企画などもありますので、積極的な投稿をお願いいたします。
最後に、現在は新型コロナウイルス感染症の対策のために、世界的に多くの行動や活動が制限を受けていますが、このような状況の中でWeb会議やテレワークの実用化が急速に広がりつつあります。これらの技術は、これまで存在はしていたものの、あまり有効に利用されているとは言えなかったと思います。必要に迫られているとはいえ、このような環境の中で新しい技術が急速に普及していく状況は、興味深く貴重な体験と言えます。設計の分野においても、種々のデータのデジタル化やVR技術の利用等、ICT技術をベースとしたバーチャルエンジニアリングの実用化が本格的に発展していくいい機会と言えます。このような例を参考に、多くの活動が制約を受ける中ではありますが、視点や方法を変えることで、本部門の活動の活性化が一層進められるよう、尽力していきたいと思います。皆様においても、積極的なご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

部門創設の背景

機械工学を取り巻く環境は転換期にあり、設計はいろいろな問題をかかえています。別すると一つは、設計対象の「質」の確保の問題であり、もう一つは設計を行なうための効率化の問題です。第一の点の問題は、設計への要求が多様かつきびしくなっていることです。製品の大型化や大量化さらにP/L(製品責任)問題など信頼性の確保はもちろん、先端技術の製品への取り込みなどのほか、感性など製品に対する人間的視点の重視、さらに最近やかましくなってきた地球環境への対応や省エネなどがあり、これらの内容はすべて設計に対する要求として発現するのです。第二の点についてはどうか。第一の点を実現するために設計の負担は際限なく増大しており、加えて最近の設計では設計期間の短縮も強く要求されます。これに対処するためにCAD/CAM/CAE、AIなどのコンピュータ利用技術が採り入れられるわけですが、それらは情報分野における、例えばニューロやファジイなどの新しい技術にも関連しており、それらの理解はさらに新しい課題として設計者に課せられることになります。このような状況に対処するためには、正面から設計に取り組み、設計者を支援する方法を考える部門が学会に不可欠です。

(赤木新介「設計工学・システム部門設置の背景」より)

対象とする分野および領域

設計工学・設計方法論・設計学 CAD/CAM/CAE ,シンセシス,アナリシス,アブダクション,創発,場の理論,発想・創造支援,創発的計算法,タグチメソッド, QFD , TRIZ , DfX
設計知識 設計哲学,設計原理,設計公理,設計知識処理技法,設計知識マネジメント,設計知識共有・再利用,機能モデリング
製品開発・情報管理 製品モデル,製品開発,プロジェクト・マネージメント,コンカレントエンジニアリング, PDM , SCM , EPR ,ディジタルモックアップ,ラピッドプロトタイピング
設計組織 ビジネスモデル,エンタープライズモデル,設計生産性,グローバルエンジニアリング
システム工学 分散・協調,コラボレーション,インターネット応用技術,データベース,遠隔教育
ヒューマンインタフェース 身体性メディア技術,バーチャルリアリティ,ハプティックス,モバイル,ウェアラブル, IPT ,実世界指向
人工物工学の展開 人工物工学,サービス工学,ライフサイクル工学
新しい人工物 マイクロマシン

部門活動実績