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今やるべきことは

岩手大学大学院工学研究科
博士前期課程1年目 田ロ 功

 9月29日,米沢で行われた地方講演会に参加した.前日,準備で忙しい中,我が研究室のボスM.K教授と「深い関係」にあるといわれる山形大学のK.W教授の研究室を博士課程の先輩T.Gさんと二人で見学してきた.軽く大学内を案内してもらったのに続き,出されたコーヒーととも話は弾み,研究内容,研究室の雰囲気,もちろん先生の話などとても楽しく過ごすことができた.このように他大学の研究室を「公開」という形ではなく普通の日に見学し,そこの学生と交流を図る機会など,ほとんどないように思うが,私自身かなり参考になりましたし,本当の交流ができたような気がしますので,是非ともみなさんも行ってみてはいかがでしょうか.
 話は変わって本番当日,ほとんど緊張することなく発表をスタートしたが,大きな落とし穴が待っていた.2枚目のOHPに入ったとき,なんと脇に準備しておいたOHPを見事に落としてしまった(笑).
 「ヤバッ!」頭の中は真っ白に....
 幸い落ちたのは表紙だけで,進行に影響はなかったものの乱れたぺ一スを取り戻すのには,5枚のOHPを必要とした.何とかぺ一スを取り戻し,予定していた内容を予定の時間で終えることができた.そして質疑へ...
 質問の内容は,ズバリ研究の本質をつくものだった.しかし,私にはそれに答えるだけの能力はなかった.その間こあと二人が混ざり,結局その3人での話し合いとなり私はただ聞いているだけだった.
 今回の発表を自己採点すると,研究の内容を聴講者に理解してもらえたことで,発表に関しては,50点満点中45点を付ける.しかし,質疑応答に関してはもちろん0点.自己採点は,結局45点という結果となった.
 「やはり知らないことが多すぎる」これが終了後率直に思ったことであるが,このことに関して最近感じることは,物事に対する結び付けをうまくしていないせいもあると思う.教科が違ったり,式の形がちょっと違うだけで全く違うものとして認識するから,覚えることも膨大になる.数ページに及ぶ複雑な数式でも,その数式の未知数は?何の関数?次元は?などポイントを押さえて,その式の本質がいったいどこにあるかを理解することが重要だと思う.こうして,今までバラバラだったものを結びつけていくことによってたくさんの持ち駒と広い視野を持ち,「これを使ってあれをやってみよう!」すなわち自分で研究テーマを探せるようになることが大切であり,これが真の技術者であり研究者であると考える.
 果たして自分が真の研究者となれるか否やかは,与えられた事をただやるだけでなく,このようなことを常に自分の意識に持っているかにかかっているのだと思う.


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