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本田総一郎杯 燃費競技全国大会に出場して

岩手大学大学院機械工学専攻修士1年 岩渕 力也

 俺がエコランを始めたのは3年前である.岩手大学がエコランの大会に初出場したのもちょうど3年前なのだが,実は俺,ちょっと遅れて入ったメンバーである.現在,岩手大学でエコランをやっているメンバーは1年生7人,2年生3人,修士1年5人である.昨年までの仲間内だけの活動と違い,今年からいきなり大所帯となりうれしい限りである.俺達の活動は,いつも大会が近くならないと動き出さないので,夏休みが終わると学校そっちのけでやってしまう非常に悪い癖がある.もともと物を作ることが大好きなので,一度作り始めると,そのままどっぷりとはまってしまう.
 俺がエコランで担当している部分はエンジンである.そもそもエンジンに興味があり大学に入ったので,最初はどんなエンジンでも“いじれる”だけでよかった.エコランで使うエンジンはホンダ製50ccエンジンで,4ストロークエンジンの基本的な物なのだが,始めたばかりの時は失敗の連続だった.それまでの感覚で持っていた“いじる”だけでは全然うまく行かず,今でこそ“そんなこと”と思える様なことでずーっと悩んでいた時期もあった.
 最初の年はとにかく大会に出てみようという気持ちで望んだので,できた車も間に合わせで,記録はいいものではなかった.2年目はカウルを着けて走りたいと考え,一関高專自動車部から“型”を借りて作った.同時にエンジンもほぼ作り直し,その年の記録は大学クラスてほぼ真ん中くらいの結果だった.そして今年,去年作った車を1,2年生に渡し,マスター組で自分達の設計による車を作ろうということになった.実は今までの車,一関高専自動車部から要らなくなった各部品を譲り受け組み立てたようなものだったのだ.実際に全ての部品を自分達で設計,加工してみると原理はわかっていても実際にどうすればいいのか悩み事だらけであった.精度が必要な部品が多く,俺達だけの力ではどうにもできず,工作センターの方々には非常にお世話になった.そんなこんなで,なんとか作り上げ,実際に走ってみると思いもよらないことが次々と起こった.
 実は毎年のことながら,試走無しで,大会当日が初“run”である.ドライバーも今年初挑戦.大会当日初試乗である.相変らず,その点だけには進歩が見られない.そのため,車がどういう状態に仕上がっているかは大会当日のお楽しみであった,もちろん,見る人が見れば一目瞭然の出来ではあったが….
 走ってみると,えっ?スタート直後リタイア?やっぱりというか,なんというか.でも,2日目があるし,まずはチェーンがはずれるのを何とかしなくては.
 ところが2日目,チェーンの外れることを予想して,工具をドライーバーに持たせたのは良いものの,外れること外れること.結局ものすごい燃料を消費してのご帰還となった.
 大会終了後,最終的に言うと俺達の設計そのものが悪かったことが判明,結果も散々だった.しかしこのことで,物を作ることに対しての考えや,実際の物の作り方など,自分達がゼロから考えて作ったことで,学んだことは大きかった.そして何より来年への課題がてきたわけで,ある意味で今年からスタートした俺達にとって多くの課題は残ったものの有意義な大会となった.


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