目次へ戻る   前のページ   次のページ


ものづくり

宮城工業高等専門学校 機械工学科5年
             須貝 和広

 異常気象でいまいちパッとしない初秋、ふと気がつくと私も宮城高専の5年生、現在までの人生の約4分の1ほど高専に通っていたかと思うと、なにやら不思議な感じを覚える今日この頃です。
 私は宮城高専で、非常に多くのものを得ましたが、やはり一番大きいものは”物作りの楽しさ”を知った事でしょうか。考えてみると身の回りは、物・物・物、物だらけで、それは「誰かが作っている」と言うのが、高専に入る前までの私の認識でした。それが高専に入ってからは、「自分でも作れる」へと変わって行きました。これは誰でも、高専に入って感じる大きな差だと思います(たぶん)。私がこれを強く感じる様になったのは、やはりロボコンを始めてからでしょうか。高専に入る前からロボコンはTVで見知ってはいましたが、実際やるとは思っていませんでした。と言うよりは、自分に出来るとは思っていなかったと言うのが、正直なところでしょう。
 まぁそんなこんなで高専に入って、ロボコンチームに所属したわけですが、始めの頃は諸先輩方の作業を見ては、何も知らない私は感心と言うか、何と言うか、「凄いなぁ」の一言を残すばかりでした。そんな私も、諸先輩、教官、技官と数多くの皆様のお陰で半人前ではありますが、自分が作ろう思ったものを作れる様になるのだから、人生まさに「成せば成る」だと感じざるえません。まぁここら辺で”物作りの楽しさ”50%と言った所でしょう。残りの50%はやはり設計の方ですね。
 私は設計は4年生の時に始めました。設計をやってみて感じた重要な点は、やはり、それが作れる事、組み立てられる事、そしてカッコイイ事(笑)だと思います。これら全てを踏まえるのは容易では有りません。まず、作れる事これが大切です。どんな素晴らしい設計も、それが作れなければ仕方が有りません。現存する工具、工作機械を把握する事が大切だと知りました。そして組み立てられる事。これも以外に大切です。複雑な機構になれば成るほどに、この点が重要になって行くのだと思います。複雑な設計を図面上で、頭の中で、組み立てられるか考えるのが、非常に面倒でもあり、パズルの様で微妙に楽しくもあった事を覚えています。そして最後に、カッコイイ事と冗談めいて書きましたが、正直私がロボコンの設計で一番重要視していた点です。やはり自分で設計したり、作った部品には不思議と愛着(?)が湧くもので、機能を果たせばそれで良いなどとは考えず、綺麗に磨いたり、角の丸みを取ったりと、はたから見れば馬鹿らしい事を良くやっていました。ここまででやって”物作りの楽しさ”100%・・・いや、120%、2割増しってとこです。
 結局の所、自分が作ろうと思ったものが設計出来て作れる。これが簡単なようで、実は難しく、物作りの重要な点であり、それを達成できた時の”物作りの楽しさ”は何にも変え難いものだと思います。


目次へ戻る   前のページ   次のページ