'95 World Solar Car Rally in Akita に参加して 鶴岡工業高等専門学校 制御情報工学科 5年 高橋 弘希 現代社会は工業化が進み、莫大な化石燃料が消費されている。その結果エネルギー資源の枯渇と地球規模での環境汚染が進んでいる。そこで、太陽エネルギーの利用が急務になっている。「ソーラーカ」はその一つで、これらの問題を克服する車である。 さて、我々は「ソーラーカ」を卒業研究に選んだ。「ワールド・ソーラーカー・ラリー・イン・秋田」に出場して自作ソーラーカーの性能を知ることが最大目標である。勿論ソーラーカーに関する知識は皆無であり、今まで積み重ねてきた機械的、電気的知識、加えてチームワークと先生方の指導のもとでなんとか切り抜けることが出来た。 7月に入り、我々のソーラーカーは完成した。名前は「Green Leaf U」である。近くの公園(本チームの専用走行試験場?)で公開走行試験を行った。県内唯一の本格的なソーラーカーとあって、各TV局、新聞社、多くの市民が集まった。走行試験の結果はまずまずで、夕方のTVニュースで報道され、翌日は各新聞に掲載された。人気は上々であった。 ラリーには世界最高峰のホンダ「DREAM」、アメリカチャンピオン「GW」、オーストラリアチャンピオン「DESERT ROSE」、東北の高専では、秋田高専、福島高専といった全81台のソーラーカーが出場した。3日間にわたるレースは、いわば死闘とも言うべきもめで、初日から故障してピットで修理に追われるチーム、タイヤバーストのためコース内でタイヤ交換するチーム、レッカー車で運ばれる姿、史にはソーラーカー追突事故があり、救急車が出場する事もあった。辛い我がソーラーカーは何事もなく、「DREAM」を何度も前にしては見失うことがあったものの、計画通り3日間で約31kmのコースを25周した。結果は総合24位、ジュニアグラス9位という輝かしい成績であった。 スタッフは今、来年に引き継ぐために「ソーラーカーの性能分析」を行っている。モータ特性の確認、コース走行シミュレーションである。悩みは、県内の「ソーラーカー人気」が高く、各地域の企画への参加依頼が多く、研究に支障をきたしていることである。嬉しい悩みでもある。我々のテーマ「ソーラーカーの研究」は、その局部を考える時、常に全システムの一部であることを考慮に入れていなければならない。自分白身の物の見方が変わってきたように思えるのである。 最後にソーラーカーを通じて、常にチャレンジ精神を持ち、物事に対する視甘の拡大と応用力を養うことが必要であると感じた。物事とは研究であったり、時には人間関係であったりする。その意味で私は人生のプラスとなる体験をしたと思う。私は卒業後、大学に編入する。この研究を通じて得た知識、体験、感動が今後の自分自身に生かされるものと思っている。いや生かしたいと思っている。 |