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研究テーマ紹介

東北大学大学院工学研究科
   M2年 藤井 幸二

1.研究テーマの背景
 構造物の破壊には一般に、疲労破壊、クリープ破壊、衝撃破壊、腐食疲労などが考えられますが、私の取り扱っている研究はこれらの破壊現象よりも少しばかり厄介な破壊、すなわち、通常はほとんど破壊の起こらない環境であり、また加えられた応力が降伏応力よりかなり低いにも関わらず、これらの両者が同時に加わると腐食によるき裂が発生、成長して破壊が生じるという応力腐食割れについて研究をしています。
 あるデータによれば腐食対策に要する1年間にかかる費用は米国だけでも200兆円を軽く上回るといわれています(日本のデータは手元になかったので)。こう考えれば、腐食による破壊あるいは劣化などの補修は、お金や最近問題になっている資源の膨大なムダ遣いをしていることがわかると思います。いったん腐食作用によって構造物の材料内部にき裂が発生してしまった場合は、その構造物の一部あるいは、もしかするとそれが起点となり構造物のすべては、時間さえたてばいずれ必ず破壊することになるので、現在では破壊力学的手法を用いてき裂がどの程度進展拡大するかを算出し、そのき裂をそのまま残して残りの使用期間を制限するか、あるいはき裂のある部分を補修したりしているそうです。そうであれば、補修費をできるだけ少なくするためには、き裂の進展速度を正確に予測してその部材を耐久期間までぎりぎりに使用する以外にないことになります。き裂の進展速度に影響を与えるものとして、き裂の受ける負荷状態、材料、環境の3因子がありますがが、最も注意されなければならないものがき裂の合体であると言われています。すなわち、き裂の合体を考慮にいれたときのみ正確にき裂の進展速度、言い替えれば余寿命を評価でき、機器の重大な事故を回避することができると言えます。私の研究はこのき裂の合体挙動をコンピュータ上で実現させて、複数板厚貫通き裂の干渉及び合体条件を導いたり、合体によってき裂の進展速度がどのように変化するかを調べることにあります。

2.参考文献
1.MAUREEN.J.PSAILA-DOMBROWSKI,"MODELING OF CRAK AND CREVICE CHEMISTRY IN LIGHT WATER REACTOR ENVIRONMENTS."
2.加藤康司ら、機械材料学
3.安藤清ら、”複数表面欠陥からの疲労き裂伝播寿命評価”


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