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ロボコンに参加して

宮城工業高等専門学校
機械工学科5年   大槻 功多

 私は十月十日のロボコン東北地区予選に宮城高専Bチームとして出場しました。私にとってロボコンヘの参加というのは初めてのことだったし、今までろくにラジコンすら造ったことのない少年だったので、開発から製作まで全てが挑戦でした。そんな私がチームの一員として1つのプロジェクトを終えた時、正直に言って、ものすごくホッとしました。そして振返ると、数々の失敗や試行錯誤、仲間との激論が思い浮かんできます。
 開発・設計の時から様々なアイデアが飛び交い、なかなかまとまらずも、少しずつ設計書を書き、材料を決めながら徐々に部品を造っていきました。設計製図・製作を実際の作業において行う訳ですが、仲間が次々と図面を書き上げていくなかで、特に私などは全体の形や機構がなかなか理解できず、仲間に何度も説明し直してもらい迷惑をかけました。それでも仲間達は熱心に教えてくれ、どうにか追いついて行くことができました。今思うと、担当などが違っても1つの物を造っていくなかでは、チーム内での最低限のコンセンサスはとるべきであり、そういったことは計画の実行段階において、とても重要なことと思います。今回のロボコンにおいても全体の機構を知っている人とそうでない人とでは簡単な作業にしても出来具合やミスで差がでました。
 もちろん、コンセンサスのきちんと取れたメンバーの中でも作業は困難なものでした。実習工場でも旋盤、フライス盤、ボール盤など久しぶりに使う機械での作業、しかも形状などが今までやったことのない複雑なものもあり、失敗や寸法・形状の変更などが数多くなされました。そして、アイデアや図面では理想化されたものも、造ってみると大きくくい違っていたことも多くありました。そんな時は、また、みんなで意見を出し合いながら新たな設計をして行きます。これというのも加工技術の問題の他に、車体重量8kgという大会の厳しいレギュレーションをクリアするためで、これには最後まで苦しめられました。結局、現場設計・現場作業という言葉がぴったりで、臨機応変な作業と対応が私達に求められるものでした。
 今回、私達の造ったロボットは優秀なものとはいえませんが、未熟な技術・アイデアを振り絞り、勝っために造りあげた1つのロボットは、初めての小さなエンジニアリングだったのではなかったかと思うのです。不健康な生活を続けながらの苦しかった作業は、私達に小さな、しかし、確実な将来への自信を与えてくれたのです。


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