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日本の成功の秘密は一体何だろうか

山形大学工学部留学生 王 徳 忠

 日本,一体どんな国ですか?どうして戦後の四十五年のあいだに飛ぶように発展して,いまの世界の経済の大国と言える発達した国に成っているか?外国人たちはいっもそういう疑問を持って考えているんです,むこうで新聞とかテレビなどの宣伝道具が日本は戦後からアメリカの軍事援助と軍事保護などのお陰で,軍事費用が1.Oパーセントに限るので,ほとんどお金が要らないし,日本の教育レベルが高いし,日本のビジネスマンがずるいなどのまちまちの原因を述べているのに,私は半信半疑でした。今年の四月に私が日本に来るチャンスが有ったので,もっと強い好奇心が起こりました。一体,日本の成功のほんとうの原因が何だろうという迷いをぜひ解く決心を持って,奇麗で発達した日本に来ました。
 日本に来てから,はじめに,目に写ったことは日本の大学の先生と学生の様子でした。正直に言って,日本の大学の学生たちの知識面とレベルはむこうの学生とかわらない。だけど、むこうの学生より日本の方はコンピューターをよく使っているし,よい設備とよい学習環境と学術の高い先生を持って,そのうえに,日本人の教育を受ける平均レベルは確かに高い,もちろん,これは日本の発達している原因のひとつだと信じています。しかし,これは根本の原因ではないのではないかなと思って,やはり根本の原因を捜し出しにくいので,わたしはほとんどあきらめかけていたところで,山形県にあるミクロン精密機械株式会社に見学にいってから,この長いあいだにわたしの頭にまとわりつく日本の成功のほんとうの根本原因が見付かったと確信しています。
 今回は,日本機械学会の東北学生学会のお陰で,わたしが三十何名かの学生といっしょにミクロン精密機械株式会社の見学ができましむ
 ”ミクロン”という数学の符号μを会社の名前に使うことは外国人の私にとって新鮮な感じを受けました。工場に入ると,きれいな職場と立派な機械が目に写りました。たくさんの機械が有るのに、あっと言わせたのは,機械を操作している人間がすごく少ないということです。ほとんどの機械は全自動と半自動的に動いています。さすが,日本の工業は,世界で進んでいると思いました。そのとき,日本の発達の原因を捜す意欲をもって見学を続けていると......突然,わたしの目のまえに働いている労働者の姿が出てきました。彼は見学している三十何名かのわたしたちを無視して,いっしょうけんめいに仕一事をやっているだけです。このとき,やっと長いあいだにわたしにまとてちりについている迷いの答えを捜し出せそうな予感が脳裏に閃てきたので,かれの仕事の様子をよく見ていました。彼の仕事は車のタイヤの製造です。全部で六種類ぐらいのタイヤを作って,すくなくとも六台の機械を同時に操作しています。彼の仕事は半成品のタイヤを取って,金型に入れて,ボタンを押してから,機械が自動てきに加熱,圧縮,成形,保温,冷却の動作をしているのに,かれは同時に別の機械で同じ順番で同じ仕事をやっています。この機械が終わったら,つぎの機械の番で,六台の機械が全部終わった時は,この仕事の循環サクルの最初の機械の製品が出来上がった時間です。かれはこの機械にかけよって,出来上がった製品を取って検査してから製品棚に置いて,新しい循環が始まります。仕事中の彼はいつもこばしリで動いています。すこしでもゆっくりと仕事をしては,機械の循環タイマーに全然間に合えないから,かれは一秒の休む時間も出来ません。汗が額から流れて,作業服も濡れています。日本人の労働者の命さえ掛けるほど仕事をやっているスピリットがわたしを感動させました。これはわたしの指導教授渡辺先生を思い出させました。
 渡辺先生の毎日のスケジュールは,あさの九時まえに学校に来て,食事は全部学校でして夜中の二時ごろまで,ずっと研究をやって,ときどき徹夜しています。そういうことはわたしは理解できないので,ある日先生に聞くと,先生がこれは日本人が働くのは大好きで、日本という社会の習慣ですからと答えました。その後わたしは日本人の生活と習慣をよく注意して,よ<考査してから,先生のおっしゃったとおリだと確認しました。たとえば,わたしの知人の平亨先生は六十何歳の年齢なのに,土,日曜日の休む日も専門学校に来て,仕事をやっています。毎日,道路で散歩している人が殆どないし,車が疾く走っているし,日本のテレビによって最近は過労死の比率が増えているそうですから,さすが,日本人の労働意欲ですねと思いました。向こうで汗をかけば,財産がたまるという諺がありますから,日本人は全民族で一緒に汗をかいて,払って,いのちさえ掛けて,いっしょうけんめいに働いていることは日本の世界の中で発達した先進国になっているほんとうの根本の原因じゃないかと思っています。
 一言で言えば,日本の先進な量がな国に成っているほんとうの根本の原因は国民の教書の平均レベルの高さと,全国民のいっしょうけんめいに働く意欲だと信じています。わたしは日本に来た目的は留学です,見学の以前はわたしの精力を日本の先進な技術の学習に注いだ。見学してから,技術の方にだけじゃなくて,日本人の働くスピリットの学習にも注ぎます。
 それに,こちらの方が一番重要なコンテントとして日本で留学すると決めました。なぜなら,もしそういう労働意欲と学習意欲が有ったら,どんな難しい学習問題でも,どうしてもできないことでもできると信じますから。
 今回の見学の感想と言えば,以上の通りです。読者のみなさん,わたしの意見に賛成しますか?最後,今度の長いあいだにまとわりっいていた日本の成功の秘密を解けるチャンスをくれた日本機械学会東北学生会と見学しました”ミクロン”などの関係者と会社に感謝の意を表します。どうもありがどうございました。

平成二年十一月五日



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