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東北学生会機関誌
「ComPass」の発刊に寄せて

日本機械学会東北支部長
大宮司 久明

 この度、東北学生会の機関誌ComPassが遅ればせながら発刊の運びとなりましたこと、ご同慶の至りに存じます。
 東北学生会では、地区持回りで親睦会と卒業研究発表会の開催、地区ごとに特別講演会その他の多彩な行事を実施してまいりました。しかし、各校が遠くに分散している地理的不便もあり、これらの行事に無縁という学生諸君も多かったのではと思います。ComPassはその意味では、東北学生会を誰にも身近なものにする効果的メディアと申せましょう。
 日本機械学会の「メカラィフ」は、およそ在来の学生誌からは考えられない斬新な感覚の、学生員、若年会員向けの情報誌で、なかなかの評判のようです。しかし、ComPassにはその地方版的役割をもたせる必要はなく、先生や先輩の記事よりも、学生同志の意見・情報の交換、学生諸君から先生や先輩への記事を多く持ちたいと思います。
 機関誌の名称ComPass、大文字のPが何やら意味ありげですが、機械系学科を特徴づける科目は設計製図、コンパスはその象徴と言えましょう。私が学生の40年近く前には、機械科の学生は大きいT定規を得意顔に持ち歩いたものですが(当時機械系が最も人気があった)、今は無用の長物と化しました。コンパスも21世紀には、CADの普及により前世紀の遺物になるかも知れません。その時にはComPassも歴史的童みを増すことでしょう。
 あと10年で21世紀、この辺で21世紀の機械工学を皆で占ってみるのも面白い企画と思います。機械技術が不用になることはあり得ませんが、機械工学はすっかり変身し、現状のかなりの分野は学問として成り立たなくなるでしょう。いま華やかな分野が意外と早くすたれ、地道なものが残ることもあり得ましょう。最後に、ComPassの発刊を機に、東北学生会が皆に親しまれ存在感のあるものに発展していくことを、心から望むものであります。
(東北大学工学部機械工学科 教授)


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