第101期熱工学部門長 九州大学大学院工学研究院,カーボンニュートラルエネルギー国際研究所 教授 高橋 厚史 |
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2023年4月1日 | 2023年4月より第101期の熱工学部門長を仰せつかりました九州大学の高橋厚史と申します.部門長就任にあたり,ひと言ご挨拶申し上げます. まず初めに,わが国では2020年の初頭から3年の長きにわたって続いたコロナ禍にようやく出口が見えたことを何よりも喜ばしく思っています.振り返りますと,当初はこれがパンデミックかという海外からの衝撃的なニュースの数々に心を痛め,国内においては飛沫と換気の三次元CGが繰り返し放送され,マスクの品不足で初めて気づいたのがグローバル化した供給体制の弱点でしたし,感染防止と経済活動という相対立する社会問題は長らく議論の的となってきました.学「会」という組織は会員間の交流が最大の目的でありますので、感染予防に心を配りながら如何にして講演会・講習会・見学会などのミッションを実行していくのか,関係の方々はかつてないご苦労であったこととお察し申し上げます.その中で,部門の主たる行事である熱工学コンファレンスについては昨年10月に東京大学本郷キャンパスにて懇親会を含めて対面方式が復活したことは大きな意義があったと感じており実行委員会の方々に深く御礼申し上げます.今年度につきましても神戸大学の浅野等先生を実行委員長として着々と対面開催の準備が整っていると聞いております.熱工学部門では伝熱・燃焼・熱物性を主たる柱として広い学問分野にわたる研究対象を扱っており,部門内の交流だけでも多くの学際的アイデアが生まれうる「会」だと私は認識しております.コロナ禍前にも増して深い情報交換の場さらにはセレンディピティーの場として皆様とお会いできることを心待ちにしております. 学会は社会貢献も重要な役目であり,講習会や公開セミナーのお世話をされている方々にも紙面を借りて深く謝意を表させていただきます.当部門が提供している「熱設計の基礎と応用」「計算力学技術者試験対策」「機械学習×熱・流体工学の最先端」という講習会の内容はニーズに即した実践的なもので,特に近年ではリモート開催の利点を生かして多くの参加者を集めています.今後も会員ご自身はもちろん周囲の方々にも参加をお誘いいただければ幸いです.また,当部門に設置されている相変化界面研究会は過去3年間で30回のセミナー開催という非常に高いアクティビティを発揮されており今年度以降も継続されるということを聞いております.世界的課題であるカーボンニュートラル社会の実現へ向けた技術開発はウクライナ戦争に起因するエネルギー価格の高騰とも相まって社会からの強い要請にさらされています.このようなセミナーを通してエネルギーの有効利用と密接に関連する熱工学分野において多くのイノベーションが生まれることを願ってやみません. 最後に,日本機械学会では過去3年間にわたって新しい部門制の準備が行われてきました.その中で実施される部門評価は総勢23の部門をS,A,B,C,Dの5段階に分類評価するというもので,結果を心配されていた関係者もいらっしゃったことと思います.試行的ではあるものの直近の当部門については最高のS評価を受けましたことをここにご報告させていただきます.これも歴代部門長はじめ運営に係わる方々の献身的協力の賜物であることは言うまでもありません.今年度も所属会員および社会のニーズにマッチした部門運営を維持しながら評価指標の一つでもある部門間連携や国際交流をさらに推し進めるべく努力してまいりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます. |