熱工学部門長あいさつ


第100期熱工学部門長

東京工業大学 工学院・機械系
教授 店橋 護
2022年4月1日

 2022年4月より,第100期の部門長を仰せつかりました東京工業大学工学院の店橋護と申します.部門長就任にあたり,ご挨拶申し上げます.
 熱工学部門は,伝熱,燃焼,熱物性などの広範な学術分野を取り扱っていますが,それぞれの分野でナノスケールから宇宙規模スケールまでと,対象とするスケールという意味においても極めて広い領域をカバーし,我が国の熱工学に関連した産業の基盤を支えてきたものと存じます.2020年10月に当時の首相による所信表明演説において2050年にカーボンニュートラルを目指すことが宣言され,これに対応した第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されております.省エネルギー技術,高効率あるいは新エネルギー変換・貯蔵技術などの二酸化炭素排出量低減や脱炭素に資するカーボンニュートラル実現に必要不可欠な技術については,これまでも熱工学部門に登録されている皆様が精力的に取り組んでこられ,多くの革新的成果が生み出されてきたものと存じます.
 しかしながら,2050年にカーボンニュートラル達成という目標が明確に設定されたことで,研究・開発の方向性などを大幅に修正することも求められるように存じます.例えば,グリーイノベーション基金事業に2兆円の基金が準備され,各分野でカーボンニュートラル実現に向けて産業界での研究開発・実証から社会実装までを継続的に支援する事業が始まっています.この事業では,企業等が対象事業者とされていますが,大学や研究機関,技術研究組合なども参加可能となっており,目標達成に向けては産官学のこれまで以上に強固な連携が求められるように感じられます.部門自体は研究実施組織ではございませんので,部門ができますことは関連する技術者・研究者が交流できる場をご提供することであり,同分野あるいは異分野の技術者・研究者の交流が将来的に協創につながる支援をすることかと存じます.熱工学部門は,第3位までの部門登録者数で4600人余,第5位登録までで5300人余と,いずれも本会23部門中で第4位と大きな部門でございます.大きな部門であるからこそ,適切な交流の場を提供させて頂き,皆様に有効利用頂ければ,より効果的で大きな力が発揮されるものと存じます. 第100期もコロナ対応が一部残ることになるかと存じますが,熱工学部門が提供する最大の交流の場は,熱工学コンファレンスでございます.過去2年はコロナ禍によりオンライン開催となりましたが,本年度は東京大学の丸山茂夫先生を実行委員長として対面での開催をご準備頂いております.2019年度97期の熱工学コンファレンスが台風接近により中止であったことから,実質的には4年ぶりの対面開催となりますので,有効にご活用いただければと存じます.コロナ禍で生み出された好評企画イブニングセミナーにつきましては,引き続きオンラインで各回テーマを絞って開催することを予定しております.
 国際連携に関する企画も部門の重要な役割と存じます.熱工学部門では,本会流体工学部門,大韓民国機械学会(KSME)の熱及び流体工学部門と連携した日韓熱流体会議,米国熱流体工学会(ASTFE)及びKSME熱工学部門と連携した環太平洋熱工学会議をそれぞれ4年に1度のペースで開催してきておりましたが,これらの国際会議こそ対面開催に意義があるとの判断から現在のところ中止あるいは延期となっております.第100期におきましては,これらの国際会議の対面開催に向けて連携先との交渉を進めさせて頂き,国際的な交流の場をご提供できるよう準備を進めて参ります.
 また,新部門制導入に伴う部門評価に関連して,他部門と連携した講習会や上述のような他学会と連携した国際会議などの継続実施あるいは新規企画についても検討させて頂きたく存じます.魅力ある部門であり続けるよう精進してまいりますので,皆様,一年間どうぞ宜しくお願い申し上げます.




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