一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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No.221 学会の運営に携わって感じたこと
2024年度企画理事 辺見 信彦〔信州大学 教授〕

JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。


2024年度企画理事 辺見 信彦〔信州大学 教授〕

No.221 学会の運営に携わって感じたこと


JSME談話室「き・か・い」は,各理事が運営を通じて感じることや気軽なトピックを発信しているWebコラム欄だとのことで,2025年2月の執筆担当を依頼されました。過去の記事を拝見すると,執筆者ご自身のことや最近の技術動向やAIソフトに対するご意見,学会のイベントや論文誌などに対する考えなど,やや固めの内容が多いのですが,普段,学会員であっても,最近の理事会がどのように運営されているのかをご存知ない方が多いと思いますので,残りの任期は残り2か月程度ですが,理事を担当させていただく中で感じたことを,やや柔らかめに書きたいと思います。

2023年2月に,それまで全く面識がなかった伊藤宏幸前会長(当時筆頭副会長)から突然に企画理事就任の打診メールをいただきました。自分に理事の話が来ることなど全く想像もしていなかったため,まさに青天の霹靂でした。なぜ自分のような者に声をかけていただいたのだろうと不思議に思いましたが,事務局長の川崎様に企画理事会の開催頻度などをお電話で伺ったところ,ハイブリッドで月一回程度だとのことで,これも縁だと思い誠意をもって頑張ってみようとありがたくお引き受けしました。本会の理事は実質上2年の任期で,約半数が年度ごとに入れ替わります。規定によると,拝命した企画理事の主管内容は,

1.集会事業・調査研究事業に関する事項

2.部門の新設改廃に関する事項

3.国際交流活動に関する事項

4.本部事業(人材育成・活躍支援、技術ロードマップ、各事業委員会、事業アドバイザリー委員会など)に関する事項

5.その他企画に関する事項

とあり,特に最後のその他の項目には色々な事柄が含まれるようで,発電用原子力設備案の承認や,独禁法や安全保障貿易管理などのへの対応,各種応募関連の審査等々,多種多様な議題も審議しています。さらに,企画理事会や全体理事会での審議だけではなく,所轄する委員会や協議会への参加にも分担があり,小生は人材育成・活躍支援委員会や事業アドバイザリー委員会などを担当しています。昨年度は,伊藤前会長からできるだけ対面で出席しましょうという各理事への呼びかけもあり,また自身の考えとして,学会の舵取りの会議であり可能な限り対面で臨むべきだという気持ちもあるため,他の会議などがあってどうしても出張できないとき以外は,担当する委員会も含めて対面出席を心がけています。いろいろを合わせると,とても月一回の頻度ではなかったので,「おいおい約束が違うじゃないか」とも思いましたが(笑),すべてが自分にとっての勉強でもあり,ありがたい経験でした。

理事会での会議を通じて最も感じていることは,機械学会の運営が進んでいるのは学会事務局の方々の真摯な努力に依るものだということです。学会の改革的な方針は会長の方針や発案によりますが,発生する課題や他学協会からの依頼などを取りまとめて理事会に議題として上げるのは,その殆どが各理事会を担当している事務の方々がそのベースを準備しています。以前,ある小規模な他学会の理事を担当したことがありますが,その学会ではあらゆることを事務局ではなく理事会メンバーが殆どすべてに対応していました。それに対して,本学会は現在約3万人強の大所帯であり,しかも理事は2年で交代するため,運営内容の過去を知り,長期にわたって携わり進めているのは常勤理事と事務局の方々です。中長期的に課題に対する調査分析を行って政策を立案する委員会としては経営企画委員会がありますが,その経営企画委員でも通常の委員の就任期間は3年程度であり,長期には事務局が学会の方針と運営の基盤を支えていると考えられます。方針や対応を議論し決断するのが理事の役目ですが,判断や方針をすぐに打ち出すのが難しい議題には,事前に他学協会での対応例や関係分野の最近の動向や関連法規などを担当の事務の方々がとてもよく調べて審議の判断材料として準備されており,極端な言い方をすれば,事務局が理事会を動かしているとも言える気もします。各理事の方々とも真剣に議論していますが,本学会の運営や方針は事務の方々の努力に支えられている側面が非常に大きいということが,理事会での活動を通じて強く感じたことです。

当たり前のことではありますが,理事会は学会内のトップ機関であるので,会議の中で一人の理事として提案した内容や修正は直接に学会の方針や基本原案の行方に反映されます。面白くもあり,責任も感じつつ,少しでも本学会が良い方向に向かうよう,真摯に残りの在任期間を全うしたいと思います。