No.187 「支部活動」に関する話題
2019年度庶務理事 河村 庄造[豊橋技術科学大学 教授]
JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。
2019年度(第97期)庶務理事
河村 庄造[豊橋技術科学大学 教授]
二年前の3月に,現在の森下信会長(当時は筆頭副会長候補者)からの要請で就任が決まった庶務理事も,二年間の任期を終える時が近づいてきました.
庶務理事には様々な主管事項(*)がありますが,私は支部協議会の議長を担当いたしましたので,日本機械学会として支部活動について議論する会議の話題について,会員の皆様にお伝えしたいと思います.
(*)全部で16項目の主管事項がありますが,特に重要なのは最後の
「その他副会長,財務理事,編修理事,企画理事,広報理事の主管に属さない一切の事項」
です(!).
日本機械学会には八つの支部があり,支部長が集まる会議は,5月の「支部協議会」と9月の年次大会期間中に開催される「会長・支部長懇談会」です.5月の「支部協議会」では,各支部の前年度の活動と現在の活動状況についてご報告いただき,全体で意見交換いたします.その後,会長が各支部を訪問して,現場担当者も交えて,活動報告と意見交換を行います.それらを踏まえて9月の「会長・支部長懇談会」では,再度意見交換を行います.それぞれの会議の内容は,各支部の運営委員会等で報告されているかと思います.
支部ごとに地域性も歴史も異なりますので,議論すべきポイントは様々ですが,全体を俯瞰すると以下のようにまとめられます.
- 地理的に広い範囲をカバーする支部は,支部活動(支部総会や講演会,講習会等)をする場合に,どうしても参加しにくい地域ができてしまう.そのためWebを利用した活動を試行錯誤している.
- 支部総会・講演会への参加者(特に産業界からの参加者)が減少している.講演会の開催時期や開催場所の検討が行われている.
- 支部活動と部門活動の連携が希薄である.例えば支部の運営委員会が,その支部で行われる部門講演会をあまり把握していない.支部と部門は,学会活動の縦糸と横糸と言われるが,その交差点ならではの活動が見えない.
- 大学・高専と産業界がよい関係を築いていると,講習会などが活発になる.産業界のメンバーが,自分の部下に参加させたい講習会の内容を決めると,自然に参加者が集まる.
- シニア会の健全かつ有効な活用が支部活動を活発化している.
以上が全体的な話題です.そしていつも話題になるのは関西支部の「メカボケーション」です.歴史もあり,現在でも非常に活発に活動されていますので,その中に何か活動の参考になるポイントがあるかもしれません.詳細は関西支部のHPをご覧下さい.
https://www.kansai.jsme.or.jp/Mechavoc/index.html
「部門」はご自分の研究分野に直結するので,部門制に関する検討は構成員の意識も高いですが,「支部」はあまり意識されていないと思います.せっかく部門と支部という異なる基準の組織があるのですから,その接点ならではの活動を考えていけたら,日本機械学会の新しい活動になるのではないでしょうか.すなわち縦糸,横糸は平面ですが,その接点で深さ方向に活動を深化させる案です.このような話題を議論しながら,支部協議会,会長・支部長協議会は実施されています.なおこの観点は,JSME談話室No.174の「つなぎ目」(第96期の足立幸志先生)とも関係します.
最後になりましたが,この二年間は理事の重みを痛感する二年間でした.もちろん私個人が何かを決めた,と言うことではありません.日本機械学会という大きな組織の意思決定の重要さをひしひしと感じた二年間でした.これからは,自分の研究分野である「部門」だけでなく,活動地域である「支部」,そして「日本機械学会」全体を意識しながら学会活動に携わって行きたいと思います.また事務局の方々には大変お世話になりました.厚く御礼申し上げます.