No.180 再び、私が考える機械学会の魅力について
2019年度財務理事 今城 昭彦[三菱電機(株)技術顧問]
JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。
2019年度(第97期)財務理事
今城 昭彦[三菱電機(株)技術顧問]
2018年度に続き2019年度も財務理事を務めます。よろしくお願い申し上げます。さて、学会誌5月号の同封冊子「人とキカイが創る、新しい未来 10年ビジョンの実現に向けて 2019年度(第97期)の取り組み方針」(1)の通り、2018年度の財務状況は、4320万円のマイナスとなりました。しかし、2012年度のプラス反転から5期連続のプラス収支に支えられ、正味財産は2018年度末時点でも13億円をキープしております。18年度決算の詳細は会計報告(2)の通りですが、マイナス要因の一つに2011年度以降最も国際会議の件数が少ないことが挙げられます。健全な財務体質の維持には、魅力ある行事を活発に実施することが肝であることを今更ながら痛感させられております。その魅力について、JSME談話室「き・か・い」No.178の田中理事談話(3)に続き、私も体験談を記させて頂きます。
1.論文集
私企業に勤める身としましては、工場から職場(研究所)へ依頼される仕事に全身全霊を注ぎ込みますが、論文投稿、博士号取得を当然とする職場風土に疑問を差し挟む余裕もなく、入社の翌年からせっせと素直に論文を書き続け、1992年に論文博士を頂戴しました。タイトルは「ステップモータで駆動される機構系の動力学特性に関する研究」(4)で、出身の航空工学科では扱いにくい内容だったようですが、幸い、日本機械学会論文集に掲載論文があったことから、機械工学科の田村英之先生に主査を引き受けて頂きました。機械学会の幅広さに救われた思いです。また、論文投稿の過程では、厳しい査読結果が返ってきて、ドキドキしながら連名の上司と相談して必死に回答を書いたことも今となっては楽しい思い出です。
2.学会賞
「超高精度ワイヤ放電加工機の開発」で学会賞(技術)(5)を1999年に頂戴しましたが、一緒に受賞した弊社名古屋製作所の関係者と喜びを分かち合いました。その受賞メダルは放電加工機の展示室に置いてあり、また、製品パンフレットに学会賞受賞を記載して製品イメージをアップしました。
3.研究会
近年、工場オーダに加え、社外情報収集と新テーマ探索のウェイトが大きくなっています。現在、四つの研究会、A-TS 18-08「自動運転に関する分野横断型研究会」(主査:東京理科大 高田博先生)(6)、A-TS 10-39「診断・メンテナンス技術に関する研究会」(主査:大阪市大 川合忠雄先生)(7)、A-TS 10-22「東海ダイナミクス・制御研究会」(主査:名大 井上剛志先生)(8)、A-TS 10-42「1Dモデリング研究会」(主査:村田機械株式会社 田尻明子氏)(9)に参加しております。私の所属する三菱電機は「家電から宇宙まで」をキャッチフレーズに幅広さを訴えていますが、こうして参加研究会を見渡すと機械学会にすっぽり包まれています。
このように幅広さを誇る機械学会ですが、最近、さらに他学会との連携を強化しています。6月号会誌(10)は「特集:5G・IoT時代のキカイ」で電子情報通信学会とのジョイントです。会長対談から始まり、移動通信を軸にドローン、工場、自動運転と新鮮な話題満載です。キカイと通信、カタチと信号、まさに両極端を結んでイノベーションを促進しています。機械学会の更なるご活用を今後ともよろしくお願い申し上げます。
参考文献
[1] https://www.jsme.or.jp/archive/katsudou/2019/jsmepolicy2019.pdf
[2] https://www.jsme.or.jp/archive/katsudou/2018/kaikeihoukoku.pdf
[3] https://www.jsme.or.jp/publication/column/2019-05/
[4] https://ci.nii.ac.jp/naid/500000084835
[5] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmemag/102/966/102_KJ00001461461/_article/-char/ja
[6] https://www.jsme.or.jp/tld/home/workshop/autonomous_car_site/index.htm
[7] http://diagnosis.dynamics.mech.eng.osaka-cu.ac.jp/
[8] 関連するHP(マルチボディダイナミクス協議会)http://www.jmbda.jp/
[9] https://www.1dcae.org/definition
[10] 学会誌6月号 特集:5G・IoT時代のキカイ、https://www.jsme.or.jp/kaisi-volno/no-1207/