RC286
1. 分科会名称 | 『流れの先進的計測・シミュレーション法と流体情報の高度利用に関する研究分科会』 |
2. 主査名 | 杉山 和靖 (大阪大学) |
3. 設置期間 | 2020年4月~2022年3月(2年間) |
4. 活動目的・内容 | 流れの問題は複雑多様化しており,実験計測・数値シミュレーション技術の一層の発展が必要である.計測・計算の高度化,高速化,大容量化は,非定常・多次元の詳細な流体情報の取得を可能とし,経験則に頼る行程を,原理原則に基づく合理的な方法に置き換えてきた.一方,データ量が膨大となりすぎて解読が追いつかないといった新たな問題が顕わになっている.流体工学の基本は保存則であり,現象が複雑であっても,細かく見るだけでは保存則に従う動きを見るにすぎない.流れの研究・開発では,これまでも,ただ計測・計算すれば終わりでなく,目的(現象解明,制御,性能評価,モデル化など)に応じて流体情報を巧みに扱い,現象の本質を捉えることで成果が挙がってきた.流体情報の利活用は,成熟した論理基盤に根ざすものであるが,近年は,データ同化やデータマイニングなど,データ駆動型の方法への関心が高まっている. 本研究分科会では,流れの研究・開発活動のブレークスルーを実現すべく,先進的な計測・シミュレーションの手法と,流体情報を高度に利用する手法について研究調査を進める.特に,近年発達の著しいデータ駆動型の方法に関して,流れの問題に応用されてきた計算・計測融合,特徴抽出,状態推定などや,新たな手法の適用性を検討する.活動としては,企業委員,研究者委員,招聘講師による講演,全委員による討論を継続的に行う.また,企業ニーズと研究シーズのマッチングを企図して,企業委員と研究者委員が自由に情報交換する場を設ける. 流れの研究・開発の現場では,産学ともに専門の細分化,深化が進み,専門領域の中で,目の前の課題を素早く解決することが求められている.一方,総合力の強化には,様々な立場の専門家の連携を促す仕組みが必要である.本研究分科会は,流体工学に関する基礎物理の探求にとどまらず,アイデアの流動性を高めるプラットフォームの役割を担い,産学の融合を深めていくための取り組みを進めていく.研究者委員は,流体工学の研究を推進する先進的な方法論と,問題解決に至る過程を説明する.企業委員は,研究者委員からの情報を収集し,企業ニーズを踏まえて,産学が協調して取り組むべき課題を提起する. |
5. 期待される研究成果 | (1) 計測・予測と流体情報の高度利用について ・ 計測や数値シミュレーションに関する最先端の技術情報を委員の間で共有できる. ・ 流れに関する研究・開発において,データ同化,データマイニングなど,データ駆動型の方法が導入され,流体情報を活用する問題解決方法が多様化する. ・ 産業,環境エネルギ,医工連携の分野における重要問題の解決に貢献するとともに,流体工学のさらなる発展に寄与するものと考えられる. ・ 次期RCで目指す本質抽出ツールの高度化に関するノウハウは,流体力学にとどまらず他分野への適用も期待される. (2) 各専門領域における狙いについて ・乱流:DNS からの知見と三次元計測の連携 ・混相流:実験情報集約と産業用数理モデリング ・反応流:素反応過程と機器バルク性能の橋渡し ・非ニュートン流:学問としてのレオロジーの産業高度利用 ・分子流:計算科学と実証実験の相互立証の方法 ・高速流:圧縮性流や衝撃波の実験と計算の融合論 ・生体流れ:大型数値計算と計測値の相関性の追求 |
6. 参加負担金 | 20万円(年間)×2年 |
7. 問合せ先 | 杉山 和靖 大阪大学 (主査) e-mail: kazuyasu.sugiyama@me.es.osaka-u.ac.jp |