一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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RC169

1.分科会名称

(社)日本機械学会 研究開発推進センター(設立準備室)

『時空間協調型設計開発を可能にする次世代CAD・モデル化技術に関する調査研究分科会』
2.主査名

長松 昭男(東京工業大学工学部機械科学科)
3.設置期間

1999年4月~2001年3月
4.活動目的・内容

すべての機械は、エネルギーを発生し変換し伝達する事により使命を要求された性能で遂行するための機能部品と、形状寸法を保持し静的及び動的強度と
安全性を保証するための構造部品とから構成される。これら両種部品共に、時空間協調型設計開発の実現を困難にする問題を抱えている。まず前者の問題
はモデル化である。すなわち、設計開発の目的は機能性能を実現する構造形状を最も安価に造ることであるが、従来の全てのモデル化手法では全形状寸法
が決定した後に初めてモデルが作成できそれを使った解析の結果として初めて機能と性能が明らかになる。従って真の意味での最適化構造は得られないとい
う欠点がある。次に後者の問題はCADデータである。大規模複雑な機械構造物の表現に必要な3次元ソリッドCADのデータ量は膨大になり、世界規模ネット
ワークコミュニケーションによる空間協調設計と有限要素法(FEM)データの迅速な作成を、更にはラピッドプロトタイピング技術による正しい造形を行うことを困
難にしている。
幸い、これら両問題を解決できる日本独自の手段が、次のように現在提案されている。まず前者に対しては、申請代表者である長松教授らによる機能モデル
である。機能モデルを用いれば、構造とは無関係に製品の機能を直接表現できコンピュータ処理できる。次に後者に対しては、法政大学國井利泰教授(東大
名誉教授・会津大学初代学長)によるホモトピー関数である。ホモトピー関数を用いれば、従来とは比較にならないほどの小規模データで複雑形状を正確に表
現できる。 本分科会では、機能モデルとホモトピー関数を併せ用いる事により、上記の問題を解決し、次世代設計開発法の概念を提唱すると共に、それを実用
化するための技術とソフトウェアーを構築する。また、時空間協調型設計時代の社会のあり方に関するコンセプト作りを行う。具体的には次の活動からなる。

I. インターネットを最大限利用する時代の社会のあり方に関するコンセプト作り (第1小委員会/コンセプト)
(1) 設計情報の共有化とライブラリ化
(2) 人間と機械の協調への自動表情認識と感性評価
(3) ネットワーク上の共同作業へのコミュニケーション技術
(4) 異文化圏協調設計・製造
(5) 時空間同時並列型企業を可能にする仮想業務
(6) 次世代製造法を可能にするコア技術と革新ダイナミクスに関する各国の現状比較
(7) 次世代製造法による社会,経済,諸産業,環境へのインパクト分析
(8) 時間並列型企業へのコンカレントエンジニアリングと空間並列型企業へのCALSを一体化した、新しい設計開発形態の概念

II. 機能モデルの開発と実製品への適用 (第2小委員会/機能モデル)
(1) 機能モデルの把握とシステム化検討…特に有限要素法モデルとの結合
(2) 機能モデルの最適化手法の開発
(3) 機能モデルを上流設計で利用すすためのCAE化

III. 体系的アプローチによる工学設計法 (第3小委員会/体系的アプローチ)
(1) 概念設計フェーズの完成
(2) 簡易CADの概念設計フェーズ関連部分の完成
(3) 材料、機構、センサー、アクチュエータに関する)知識ベースの作成…医療機器の研究開発をしているグループとの共同研究
(4) 実体設計フェーズの内容検討
○ 簡易CADの実体設計フェーズ関連部分
○ 実体設計フェーズの内容…手順、チェックリスト、基本ルール、基本原理、ガイドライン、評価法についての検討

IV ホモトピーCADの開発・システム化とその適用 (第4小委員会/ホモトピーCAD)
(1) ホモトピー関数の把握
(2) ポリゴンデータからホモトピーデータへの変換
(3) ホモトピーデータからポリゴンデータへの変換
(4) エンジン部品を例題とするプロトタイプホモトピー関数CADの開発
○ 解析モデルの作成がどこまで容易となるか、
○ データはどこまで圧縮されるか、
○ ラピッドプロトタイピング技術でどこまで正確な造形が得られるようになるか、を見る。

V  新しいCAEシステムによる乗り心地・振動・騒音問題(NVH)・動的非線形への適用 (第5小委員会/ 新しいCAEによるNVH・動的非線形)
(1) 例えばブレーキ鳴き解析を例に音響CAE(設計段階で音質の吟味を可能とするCAE)結びつけブレーキ鳴きそのものも音質の良いものに代える解析
(2) ハイブリッド車などのエンジン部品最適構造の探索
○ RC149で開発したホログラフィックニューラルネットワークを用いた多峰性の最適化解析技術を活用
「註記」
RC149「次世代製造法を可能とする解析および通信などのインフラ技術--わが国製造業復活への設計システムのコア技術革新--」
に関する調査研究分科会について
設置期間:1997年4月~1999年3月
主査 長松昭男(東工大)
幹事 間瀬俊明(日産自動車、現日産デジタル開発)
幹事 萩原一郎(東工大)
主な内容
(1) コンセプトグループ(=Cグループ)とアクショングループ(=Aグループ)を設けた。
(2) Cグループでは、「我が国製造業における次世代設計製造プロセスのあるべき姿を大学、企業それぞれの立場を越えて追及し、
今後の製造業の方向と共同研究の道筋を明らかにする」ことを目的にした自由討議を主に行った。
(3) Aグループでは、①工学設計法、②次世代CAD:ホモトピーに基づくCADデータ圧縮・伝送の検討、
③設計の最適化と協調:大規模で多目的な実用最適化手法の開発、④音響CAE:設計段階での音質検討、の4テーマに分かれて活動を行った。
5.参加負担金額(年間)

30 万円
6.問合せ先

分科会幹事 萩原 一郎(東京工業大学工学部機械科学科)
〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1
TEL/FAX: (03)-5734-3555
E-mail: hagiwara@mech.titech.ac.jp