一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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RC-D3

1. 分科会名称  『炭素系粒子状物質の特性値評価に関する研究分科会』
2. 主査名  新井雅隆 (群馬大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻 教授)
3. 設置期間  2008年4月~2010年3月(2年間)
4. 活動目的・内容
自動車から排出される炭素質の微粒子(PM)の低減対策はディーゼル機関だけでなく、ガソリン機関でも今後問題となる。さらに固定燃焼装置においても今後問題が顕在化すると思われる。これは高効率機関や高効率燃焼装置の開発のために解決しなければならない問題であり、具体的には

(1) 燃焼場におけるPMの生成と酸化の反応機構が明らかでないので、根本的な低減対策が立てにくい状況にある。
(2) PMの生成や酸化のモデル、またそのモデルに対応するPMの化学的および物理的な特性値が不明であるため、燃焼モデル計算の精度が上がらない。
(3) DPF等のPM除去装置においても(1)や(2)と同種の問題が生じている。
(4) NOx対策のためのEGRクーラやDPF内に堆積するPMの挙動が把握されていない。
(5) PMの計測に当って、半揮発性物質の扱いが不明瞭である。
(6) 固定燃焼装置においても上記の問題以外に煙道内で生成される二次微粒子の生成メカニズムが明らかにされていない。

など、PM特有の多くの未解決な技術課題がある。この種の問題について、いままでは事例ごとに個別対策が立てられているだけであり、PMの特性評価を行った上での合理的な手法で研究や器機開発が行われてきたとは言いがたい。そこでこの研究分科会ではPMの特性に関する情報交換を行い、PMに関する工学・技術情報を精査し、信頼性の高い特性値の汎用化に努める。
以上の分科会活動を行う研究者側委員としては、新井雅隆(群馬大学、主査)、古畑朋彦(群馬大学、幹事)、相沢哲也(東京工業大学)、小川英之(北海道大学)、河原伸幸(岡山大学)、川野大輔(交通研)、草鹿 仁(早稲田大学、千田二郎(同志社大学)、土屋賢次(JARI)、登坂 茂(北海道工業大学)、花村克悟(東京工業大学)、森吉泰生(千葉大学)、その他PMに関する専門家数名を予定している。また運営委員会は上記研究者側委員と企業側委員の合計8名で構成する予定である。

【上期 第1年度 (2008年4月~2009年3月)】

本研究分科会は研究者側委員に分科会としての特別な研究活動を要求しないが、研究者側委員の持っている情報の開示を要求する。また企業側委員には企業として必要な情報について研究者側への要求を依頼する。年間3回の会合(1回は宿泊付き)を東京にて企画し、そこでは以下の討論を行う。
(1) 研究者側委員の既発表論文(審査付き)の解説、論文に掲載されたPM特性値についての評価や利用法
(2) 文献調査で得られたPMのモデルや特性値の評価
(3) エンジンシミュレーションに必要なPMのモデルとPMの特性値
(4) DPF等の開発に必要なPMの特性値
(5) PMの計測技術と計測に必要なPMの特性値

【下期 第2年度 (2009年4月~2010年3月)】

活動の形態は1年目と同じにするが、文献として公表されているPM特性値の数値整理を行う。またPMのデータベースを共同執筆し、技術論文(レビューペーパ)として公開する。

【特記事項】
本RC-D3においては、研究者側委員に特別な研究活動は要求せず、研究者側委員の保持している情報の開示を分科会の場で行っていただく。したがって研究予算の大半は旅費会合費として使用する。言い換えると、PMの専門家を年に2~3回一同に集合していただき、集中的な情報交換を行うことを主目的とする。現状では旅費および滞在費を支給しないかぎり、研究活動資金と時間にゆとりのない研究者側委員を一同に集めることが難しいため、旅費会議費を主体とした支出計画を伴った分科会とする。ただし、参加企業が増加した場合には試験研究費や調査研究費の支出も検討する。

5. 期待される研究成果  研究分科会の目的に掲げた項目について以下の成果が得られる。

(1) 燃焼場におけるPMの生成と酸化の反応機構とその簡易モデルの汎用化が達成される。
(2) PMの生成と酸化のモデルによる解析を行うためのPMの化学的および物理的な特性値の計測手法とその特性値の数値が明らかになる。
(3) DPF内のPMの挙動が明らかになる。
(4) PMの壁面付着や壁面での酸化反応の状況が明らかになる。
(5) PMの特性値を左右する半凝縮性物質の挙動が明らかになる。
(6) 煙道内および大気放出後の二次生成微粒子の特性を明らかにすることができる。

上記の項目に関する情報を精査し、信頼性の高い特性値データの使用を可能とすることは、PMに関する工学の向上とPMの排出量の少ない高効率内燃機関の開発に対して有力な情報提供になる。

6. 参加負担金  10万円(年間)×2年
7. 問合せ先  分科会主査: 新井雅隆
群馬大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻
〒376-8515 群馬県桐生市天神町1-5-1
TEL:0277-30-1522   FAX:0277-30-1521
E-mail:arai@me.gunma-u.ac.jp