P-SCD388「情報機器のメカニクス制御に関する研究分科会(2)」成果報告 |
本分科会は, その(1)に引き続き, 3年間12回の分科会を開催した。
本分科会の設立は、高度化したHDD技術の境界領域の再定義、さらには横展開を目指したものであった。その後、SSDなどの半導体記憶装置が大きく伸びているが、SSDもHDDも、技術的には完全にナノテクの領域に突入し、また大規模な装置産業として国境を越えた巨大企業に集約されつつある点は共通している。
この中で、エンジニアは過度の専門化が進み、縦割りの中での技術開発には課題が多い。そこで従来の枠組みにとらわれず、メカ、サーボ、トライボロジなどの学際的領域を理解するために、エンジニア間の踏み込んだ議論を進めた。
また、エンジニアの間口を拡げ、広い視野から考えを深めるため、例えば、自動運転、フィンテック、高効率内燃機関など専門外の多くの講師を招聘し、その分野での理解を深めた。
この分科会の方向性は、委員の間でも評価されており継続を求める声が多かったため、その(3)の分科会を立ち上げ、活動を継続していくことにした。
その中で、上記技術の横展開をさらに推進していきたい。 |
P-SCD 388委員名簿 |
主査 有賀 敬治(有賀リサーチLLC), 幹事 小金沢 新治 (関西大学),有坂 寿洋 (日立製作所), 多川 則男 (関西大学), 渡邊 徹 (東芝),福井 茂寿 (鳥取大学),半谷 正男(日本発条), 浦川 禎之 (ソニー),山口 高司 (リコー), 松岡 広成 (鳥取大学),落合 成行 (東海大学),梶原 逸朗 (北海道大学), 中村 哲一 (富士通研究所) , 清水 裕樹 (東北大学),中村 滋男 (HGSTジャパン), 須賀川智夫 (フェローテック),小出 大一 (NHK), 中田 秀輝 (パナソニック) , 福澤 健二 (名古屋大学),谷 弘詞 (関西大学), 渡部 慶二 (富士通セミコンダクター),鈴木 隆夫(ベルネットワークス), 木村 勝彦 (日立製作所),森 英季 (秋田県産業技術センター) , 小野京右 (東京工業大学名誉教授),平田 光男 (宇都宮大学), 秋葉敏克 (東芝), 冨澤 泰 (東芝),林 秀樹 (パナソニック), 中島 賢司 (東芝), 片岡 宏之 (HGSTジャパン),江口 健彦 (HGST ジャパン) |
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P-SCD389「運動と振動の制御に関するサイバネティックス研究分科会」成果報告 |
科学技術の発展に伴って,人を取り巻く環境は快適になる一方で複雑かつグローバル化が著しく,これによるリスクも顕在化してきています.すなわち,要素技術の発展はもとより,システム論的な解決手法の構築が求められています.1940年代にN.Wienerによって提唱された「サイバネティックス」は,まさにこのような社会を予想し,「制御と通信(情報)理論」を核としたシステム理論でもあり,その重要性を再認識する時代の到来とも言えます.
このような背景から2004年以降本部門には,「ヒトとの有機的融合をめざす運動と振動の制御研究分科会(主査:須田義大)」,「安全・安心な社会を支える運動と振動の制御研究分科会(主査:田川泰敬)」,「運動と振動の制御に関する人間中心設計研究分科会(主査:西村秀和)」が設置され,人と環境を考えた「運動と振動の制御のための機械システム」の発展を目指して積極的な活動を展開してきました.
この流れを汲みながらも,サイバネティックスに包含される様々な科学技術の分野とその方法論,すなわち生体工学,環境学,大規模複雑系,協調制御系,自律分散系,ネットワーク理論,非線形確率理論などを「運動と振動の制御」の分野において発展・拡充し,真に人と環境に配慮した「運動と振動の制御システム」の設計論を構築することを目的として,2015年3月に本研究分科会を発足しました.そのために,委員相互あるいは分科会外との情報交換・研究交流を積極的に行い,各委員の研究への創造性とモチベーションとを高めることを狙って,主に企業あるいは研究所の見学を兼ねて3年間活動して参りました.また,D&Dや自動制御連合講演会などでは,オーガナイズドセッションを企画して多くの研究発表・討論を行うことができました. |
P-SCD 389委員名簿 |
主査 横山 誠(新潟大学), 幹事 高橋 正樹(慶應義塾大学), |
成川 輝真(埼玉大学), 西村 秀和(慶應義塾大学), 池田 富士雄(長岡工業高等専門学校), 上野 哲(立命館大学), 岡 宏一(高知工科大学), 川島 豪(神奈川工科大学), 小池 裕二(IHI), 田川 泰敬(東京農工大学), 多田 幸生(神戸大学), 千田 有一 (信州大学 ), 外山 茂浩(長岡工業高等専門学校), 中野 公彦(東京大学), 西原 修(京都大学), 平田 光男(宇都宮大学), 平元 和彦(新潟大学), 福喜多 輝(清水建設), 松谷 一英(大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)), 水野 毅 (埼玉大学), 村野 健一(JFEエンジニアリング), 吉田 勝俊(宇都宮大学), 吉田 秀久(防衛大学校), 板垣 紀章(コンチネンタル・オートモーティブ株式会社), 貝塚 勉(東京大学) |
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P-SCD400「AMを軸とした生産システム革新研究分科会」成果報告 |
本分科会を設置した2013年では、アディティブマニュファクチャリング(以下AM)のよる「ものづくり」は、生産の革新を引き起こす可能性が言及されていたが、国内においては装置開発の議論に比較して、利用方法やアプリケーションに関する議論が少なかった。そこで、多様なAMを活かした生産プロセス革新に関する組織的取組のため、本分科会を発足させた。AM技術を軸に関連技術との融合も視野に入れて、生産システム革新を目指すサイエンスコミュニティの場として、添付に示す第1期(P SCD 383) 、第2期(P-SCD400)活動を行った。生産方式/SCM、ものづくり教育、スマートファクトリとも言われるデジタルファクトリ、医療応用等の研究者が参画。分科会メンバーは自らの研究を紹介し、種々の専門家からの意見を得て、研究を進めるヒントを得た。参加者は、出張費等自己負担である。取り組みの視点は、AM応用研究による既存生産技術の再評価や技術のシナジ、および、全体最適化視点でのAMによる生産構造革新、教育システム構築等、AMを軸とした「生産システム革新」であった。特に、AM造形機(機器、装置)がラインと独立して部品等を加工するのではなく、加工セルの主要な構成”要素”としての位置づけにより、従来の製造設備にない成果に注目し、情報交換、それらの課題検討を行った。 |
主査 塩谷景一(大阪大学), 幹事 松本 宏行(ものつくり大学),舘野 寿丈(明治大学) |
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P-SCD406「形状記憶材料の高機能化と応用に関する分科会」成果報告 |
本分科会は前身となるP-SCD392分科会「形状記憶材料の医療および産業分野への利用拡大のための研究開発に関する分科会」の成果をさらに異分野・異業種に発展させることを目指し,2018年11月~2021年10月までの3年間にわたって研究会を中心とした活動に取り組みました.そこでは,多くの分科会委員の参加のもとに国内の企業,大学や研究所から講師を招き,材料の高機能化や新規機能材料の開発,応用技術の提案,変形挙動や動作の解析などの物理現象に至る基礎研究など多岐にわたる研究成果や話題提供があり, 形状記憶合金に関する従来研究の再認識や新技術の情報交換など, 今後につながる様々な議論ならびに討論を行うことができました.一方で,活動2年目にあたる2020年の春以降は,残念ながら新型コロナウィルスCOVID-19の蔓延により対面形式でのイベントは開催できませんでしたが,オンライン研究会の開催や(一社)形状記憶合金協会と共催・協賛企画を積極的に行うなど, 新たな形態での活動方法を模索し実践いたしました.研究会をオンラインにすることで活動が停滞するのではという不安もありましたが、出張の負担が軽減されるなどオンラインならではのメリットを見出すことにもつながり,対面形式に勝るとも劣らない活発な分科会活動を実現できたものと考えています.
研究会以外にも,2020年に学術誌の特集号 Sensors and Materials:Vol.32 No.8 (3),“Special Issue on Advances in Shape Memory Materials”を編纂・刊行し,分野と学会の垣根を超えた形状記憶合金研究の発展・情報発信にも努めました. |
主査 松井 良介(愛知工業大学), 幹事 三木 寛之(東北大学) |
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P-SCD409「動力伝達用歯車の生産性向上と性能向上に関する調査研究分科会」成果報告 |
本分科会P-SCD409では,次項の構成員で2019年5月に設置され,2022年4月末まで動力伝達用歯車の生産性向上と性能向上を中心とした歯車関連技術について,情報収集と調査研究活動を実施した.具体的には,2019年度において,1回の運営に関する委員会と3回の会合(企業見学会付1回を含む)を,産業界と高等教育機関等に所属する延べ約200名の参加者,並びに,会合の場所の提供者と工場見学の関係者などのご協力とご尽力で開催できた.この中で,「歯車に関する教育・研究・人材育成」「歯車の設計・加工・計測」「歯車装置」「歯車の強度」「歯車製品」に関する最新の話題提供と現状の歯車生産工場の見学さらに各々活発な討論・意見交換があり成果が得られた次に,2020年初頭から2022年4月末の期間において,計画した11回の会合は,COVID19禍のため,開催直前の会合1回を含めすべて中止せざるを得ない残念な結果となった.しかしながら,これらの状況下でも,研究成果報告書を関係各位のご尽力で2022年4月15日にA4版本文52頁の冊子本で発行できた.この研究成果報告書が,歯車に関連する研究開発・技術開発と技能の継承のために役に立つことを願うとともに,従来の正常な分科会活動ができる社会情勢になることを切望するものである. |
主査 中西 勉(宮崎大学 名誉教授 ),幹事 黒河周平(九州大学),大島史洋(佐賀大学) |