日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第110号
携帯用電気カンナ モデル1000
携帯用電気カンナ「モデル1000」は、(株)牧田電機製作所(現(株)マキタ)が完成品メーカーへの転換を目指して開発したものである。アメリカ製電動鉋(かんな)をモデルとして、日本の建築材に対応した切り幅や小型軽量化をはかり、日本の大工作業に適した携帯用電気カンナとして、1958(昭和33)年に電気カンナ「モデル1000」と名付けられて発売された。発売当時、大工職人による鉋がけ作業は重労働で熟練を要したが、電気カンナによれば大工仕事の未経験者でも容易に鉋がけができ、電気カンナ「モデル1000」は急速に普及し、その後の大工道具の電動工具化の端緒となった。
本機は、一般の100Vで使用でき、毎分13,000回転するカンナ胴には刃幅120mmのカンナ刃2枚が付き、毎分26,000カットの高速で、堅木、軟木を問わず、逆目もきれいに削ることができた。
開発過程で得られたカンナの移動定盤の昇降装置、手押し使用装置、コードの破損防止装置、ベルト緊張装置、カンナ刃取り付け装置などの技術のうち、2件が実用新案として登録されている。
《写真提供:株式会社マキタ》