日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第99号
急傾斜地軌条運搬機「モノラックM-1」
瀬戸内海沿岸傾斜地のみかん畑では、収穫時の果実運搬を人力に頼らざるを得なかった。ワイヤによる索道輸送は、設置や管理に際しても危険な高所作業を伴い、改善を要した。1966(昭和41)年から販売された急傾斜地軌条運搬機「モノラックM-1」は軌道の敷設自由度の高いモノレールによる運搬装置で、地上に近い位置でレールが設置でき、左右展開や斜度45°の急傾斜での設置も可能なことから、果樹栽培業の省力化と効率化に大きく貢献した。
現存機は日本刈取機工業(株)(現(株)ニッカリ)が1970(昭和45)年頃に生産、モノレール工業協会事務局がある同社に保存・展示されている。動力源に汎用エンジンを使用、その出力をプーリとベルトを介して歯車減速機へ、また自転車のようにスプロケットとチェーンから駆動用ピニオン軸へと伝える。このピニオンが角鋼材下面に溶接されたラックとかみ合うことで上面が平滑化でき、機体が振動なく走行できる。同種の農業用モノレールとしては確認されている限り世界初の製品で、農林省(当時)の支援のもと、索道からの積極的転換が図られたほか、現在では土砂災害復旧工事の際に使用され、また海外企業への技術供与も行われている。
《写真提供:株式会社ニッカリ》
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