日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第88号

鋳造用砂型の造型機械「C-11型生型造型機」

 鋳造は、大型機械から精密な微小部品まで、重要なものづくり技術である。鋳造における砂型の造型製作は複雑なため、かつては熟練工による手作業に頼り、それが生産性と品質の低下を生む要因であった。本機は、1927(昭和2)年に登場した国産初の生型(砂型)造型機である。この造型機で、450mm×300mm×高さ200mmの鋳型を製造できた。名古屋市の久保田鋳造所(現 新東工業(株))の久保田長太郎により製作された。米国製の機械をモデルに独自開発したものであるが、わが国の鋳物工場の機械化は本機により始まった。小物汎用の生型造型機で、ジョルト(上下振動)作動、スクイーズ(押付け)作動、バイブレーションの機能があり、下型、上型、型抜きの一連の作業ができる型込め機械である。本機の出現により、飛躍的に生産能率が向上し、鋳造工程の機械化、近代化への礎となった。鋳型の製造工程が機械化されたことで、鋳造部品の大量生産が可能となり、わが国の繊維機械や自動車など、大量の鋳造部品を必要とする機械工業の発展を支えた。また、多くの大学や高専では長年にわたり、この形式の機械を用いた工作実習教育が行われ、技術教育の発展に寄与した。

《写真提供:新東工業株式会社》

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