日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第82号

移動式ブラシ付門型自動洗車機

 本機は、竹内鉄工(株)(現タケウチビユーテー(株))が1962(昭和37)年に開発した日本初の移動式ブラシ付門型自動洗車機で、現在、全世界に普及している自動洗車機の原点である。
 1950年代までの洗車機は水の噴射のみで、洗車は人手によっていた。本機は回転ブラシによって、洗車を機械化することに成功し、洗車能力を飛躍的に高めた。サイドブラシは、車幅の変化に応じて適度な押し当て力を保持するように動き、トップブラシは、ブラシから伸びるハンドルにより手動で上下移動させる。他の可動部分はすべて電動であり、ゲート内部に設置された二つのモーターによってなされる。停車状態のまま門型の洗車機本体が1往復するため、設置面積は1台半のスペースで十分である。本機は1往復のブラッシングで自動車の隅々まで洗車でき、所要時間は3分である。この洗車機の技術は1962年に国内外の特許を取得した。1960年代後半に同社は、多様化するニーズに応える形で日本初のコンベア式洗車場などを開発しているが、基本仕様は、すべて引き継がれた。
 本機は1963(昭和38)年に製作された量産1号機であり、本機シリーズは現在までの累計販売台数は国内外を含めて12万台で、ガソリンスタンドや自動車整備工場に設置され、その後のモータリゼーションの発展に大きな影響を与えた。

《写真提供:タケウチビユーテー株式会社》

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