日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第81号
特許タツノ式ガソリン計量機 型式25号
龍野製作所(現(株)タツノ)創始者・龍野右忠は、1919(大正8)年に日本初のガソリン計量機、1925(大正14)年に地下貯蔵安全装置の特許を取得し、日本のガソリンスタンドの原型をつくった。
本機は、1937(昭和12)年製「特許タツノ式ガソリン計量機 型式25号」である。地下タンク内ガソリンを計量機の手動ポンプで上部ガラス容器(容量40リットル)に汲み上げ、容器内の摺動(しゅうどう)管と基準管の高低差により、5リットルまたは1ガロンごとの任意の迅速な給油を可能にした。それまでは容器内全量給油のみであった。1923(大正12)年の関東大震災時には、特許を取得していた安全器の働きと地下貯油槽の工夫により、ガソリンスタンド火災を1件も起こさなかった。
型式25号は、昭和初期から第二次世界大戦頃までの主要機種であった。ガソリンをこぼさず、蒸散を押さえ、顧客の求める量を正確に供給するという機能を併せ持ち、当分野のトップメーカとなるきっかけとなった製品である。この機械は、危険物の安全な計量と供給の技術を通じてわが国の産業発展に貢献した。商用ガソリン計量機は、その後の電動機式、時計メーター式、さらに電子式へと進化していき、これらの発展の礎を築いたものといえる。
《写真提供:株式会社タツノ》
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株式会社タツノ 横浜工場展示場
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