日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第60号
国産初の16ミリ映写機(エルモA型)
国産初の16ミリ映写機は1927(昭和2)年に榊商会から発売されたエルモ16ミリ映写機A型である。開発者は、「名古屋に発明の鬼才あり」といわれた榊秀信である。当時の映写機は35ミリが主流であったが、運搬や設置の面で普及には難があった。彼は、小型映写機の教育分野への活用の可能性を信じて、輸入された玩具の16ミリ映写機を徹底的に研究し、苦心の末、まずA型1号機を完成させた。この映写機は手回し式を採用した国産初の小型映写機であった。
その後、この映写機にさらなる改良を加える中で、モータや映写電球を国内各社の協力を得て開発し、画期的なフィルム送り機構を開発するなどして、1930(昭和5)年に純国産機と呼べるD型の製品化に至った。後に製品名が社名となったエルモ社の映写機は世界的に普及していった。
小型映写機が日本の映画文化や視聴覚教育に果たした功績は大きく、映写機の国産第1号機であるエルモA型は映像文化の歴史的資料としても価値がある。
《写真提供:株式会社エルモ社》
現在は展示していません
(学術目的の調査は応相談)
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