CFDの基礎とノウハウ
【趣 旨】
商用コードの台頭に例を見るように,CFDは設計や予備試験のツールとして有効に用いられるようになっています.このような状況にも関わらず,CFDには普遍的な手法が確立しておらず,様々な離散化法・スキーム・物理モデルの中から,着目している現象に対する適切な選択が必要です.ところが,一般ユーザにとってこの選択は非常に困難であり,商用コードを用いて信頼性の高い解を得るには委託に頼らざるを得ない現状を招いているのではないでしょうか.さらに,研究者ですら応用分野への適用において,所有しているソフトウェア資産等に縛られて常に適切な選択をしているとは限りません.本講習会は代表的な計算手法の適合性を簡潔に説明することによって,計算対象に適した手法の選択に指針を与えるものです.同タイトルの講習会はこれまで2008年1月より計3回,東京及び大阪で開催され,それぞれ多数の方にご参加頂きました.今後,本講習会をシリーズ化することにより,商用コードをすでに導入されている方,これから導入を考えている方,また,CFDコードの作成に取り組む研究者・学生に対して,随時,有用な知識・ノウハウを提供していきたいと考えております.
【プログラム】
9.20~ 9.30 挨拶・諸説明 遠藤 誉英(東京電力)
9.30~11.00 「CFDの全体像と手法の位置づけ」姫野 龍太郎(理化学研究所)
CFDとは,ナビエ・ストークス方程式を解くという共通した目的に対する操作であるが,乱流を例に挙げてもRANS, LES, DNS等様々な計算法が存在する.ここでは,既存の代表的な計算法を紹介するとともに,離散化法・スキーム・物理モデルが計算コードの中でどのような位置づけにあるのかを概説する.
11.10~12.40「離散化手法と数値計算法の選択」梶島 岳夫(大阪大学)
CFDには様々な離散化手法や数値計算法が取り入れられている.残念ながら現状では決定版はなく,解析対象に応じて使い分けざるを得ない.本講では,計算効率,解像度,精度,保存性,信頼性など,利用者にとって重要ないくつかの視点から,代表的な解法を説明する.
12.40~13.40 CFDベンダーによる展示(昼休み)
13.40~15.10 「物理モデルの基礎と選択法」山本 誠(東京理科大学)
乱流等の2次的な現象を含む流れの解析において,厳密な方程式を直接解くことは実用性に乏しい.従って,これらの影響を簡便に表現するための物理モデルを計算に導入するのが一般的である.本講義では各種物理モデルの,流れ場に対する予測性能の差異や計算コストについて説明する.
15.20~16.50 「熱流動場のモデルとその選択法」須賀 一彦(大阪府立大学)
熱流動場のCFD解析についての注意点や乱流熱流動モデルについての基礎から最新の話題までを分かりやすく解説します.そして,応用計算をするにあたって実用の観点からは,何処に注意して何を選択したら良いかの指針を示します.
16.50~17.20 「CFDベンダーによるショート・プレゼンテーション」当日展示会に出展するCFDベンダー数社
18.00~20.00 懇親会(予定.懇親会費は別.詳細は講習会申込者に別途連絡.)
【定 員】60名程度.申込み先着順により定員になり次第締め切ります.