イブニングセミナー(第198回) 肖像と裸体
【開催日】
2016年8月31日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【講演テーマおよび講師】
二十年近く前に、「博士の肖像―人はなぜ肖像を求めるのか」という展覧会を企画し、東京大学構内に存在する肖像画と肖像彫刻をシラミつぶしに調べたことがあります。その結果、肖像とは何とも奇妙な物体だと知りました。端的にいえば、肖像とはその人物の身代わりです。それゆえに、あたかも生きているかのように、さまざまな出来事が起こります。日本機械学会に敬意を表して、まずは東京大学工学部一号館前広場にあるチャールズ・ウェストCharles West(1847-1908)の肖像彫刻=銅像を手掛かりに、肖像の世界にみなさまをご案内します。技術と社会部門にはさらなる敬意を表して、裸体像の世界にも踏み込むつもりです。なぜなら、技術と社会部門のネクタイピンにはレオナルド・ダ・ヴィンチの完璧なる男性裸体像が使われているからです。肖像と裸体像は対極の世界にあるかに見えます。しかし、裸で人前に立つことを望んだ人がいないわけではありません。それが誰であったのかは真夏の夜のお楽しみとします。
講師 木下直之(東京大学大学院教授 文化資源学研究専攻)
<懇親会>
明治大学アカデミーコモン1階の「カフェパンセ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.
会費 3 000円程度
次回予定:2016年9月28日(水)18.00~20.00 射出成型機の話