イブニングセミナー(第189回) 伝統的工芸品としての熊野筆
【開催日】
2015年10月28日(水)18.00~20.00
【趣 旨】
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
【テーマおよび講師】
明朝体でもゴシック体でもワープロならば,「弘法筆を選ばず」と言えるのですが,手書きの書道筆では同じ筆を使うとは思えません.日本画筆と水墨画筆の違いは使う色だけではないのは間違いないのですが,化粧筆は女性でないと,赤ちゃんの胎毛筆は大人でないと違いが判らない.「なでしこJAPAN」の国民栄誉賞に熊野の化粧筆が選ばれたのは,高級な伝統的工芸品だからと納得するしかない.
これが材質ならば技術屋の分析の領域なのだろうが,実際これも本物の羊毛,いたち毛,馬毛と,筆ペンのナイロン毛の違い程度の比較が限界かと思う.しかし遠く正月の書初めを思い出せば,達筆ではない言い訳ではないが,ゆったりとした筆の運びには,日頃の忙しすぎるリズムとは別な自分がいるような気がする.
今回は,伝統工芸品としての広島熊野筆の技術を語っていただく.
講師:高橋 芳(一休園 東京営業所所長代行)
<懇親会>
大学近くの「パブレストラン アミ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.
会費 3 000円程度
次回予定:2015年11月25日(水)18.00~20.00
テーマ「硯」関係