日本機械学会関西支部 第340回講習会 新エネルギーシステムのフロンティア技術を学ぶ (水素エネルギーシステムの最新動向と性能計測評価法)
(協 賛)
日本ガスタービン学会,可視化情報学会,計測自動制御学会関西支部,精密工学会関西支部,システム制御情報学会,日本金属学会関西支部,日本計算工学会,日本材料学会関西支部,日本流体力学会,日本塑性加工学会関西支部,日本マリンエンジニアリング学会,化学工学会関西支部,日本化学会,日本伝熱学会,日本航空宇宙学会関西支部,溶接学会関西支部,日本船舶海洋工学会,日本冷凍空調学会,日本燃焼学会,日本鉄鋼協会関西支部,自動車技術会関西支部,ターボ機械協会,日本バーナ研究会,滋賀経済産業協会,京都工業会,奈良経済産業協会,兵庫工業会,大阪科学技術センター
【開催日】
2015年11月12日(木)9:30~17:00
13日(金)9:00~17:00
【趣 旨】
2015年の燃料電池車普及開始を契機とし,2020年東京オリンピックへ向けて,水素エネルギーは急速に普及する可能性があります.一方,水素社会実現のためには,機器導入コストの課題や,単なる発電効率だけではなくトータルの経済性と環境性の問題を克服する必要が指摘されており,新規参入業者による市場の拡大,高効率エネルギーシステムの開発が求められています.こうした状況の中,日本機械学会関西支部では,水素エネルギーシステムの最新動向と,水素エネルギー機器に特有な性能評価指標や計測技術にスポットを当てた講習会を企画致しました.既に水素エネルギーシステムの開発に携わっている方はもちろん,これから設計,開発部門などで水素エネルギーの開発に取り組もうとされる方は是非ご参加下さい.
【題目・内容・講師】
11月12日(木)
(1) 9:30~11:00 エネルギー変換の基礎としての熱力学
京都大学 工学研究科 教授 吉田英生
熱力学の第1法則と第2法則が確立する過程はたいへん興味深い.そして,第2法則と不可分なエントロピーの概念はやはり難解であり,それを含む自由エネルギーの理解も容易ではない.本講ではこれらの歴史的経緯もふまえて正しく理解するためのエネルギー変換の基礎を紹介する.
(2) 11:10~12:40 エクセルギーの考え方と使い方・損失低減の具体的方法
大阪大学 大学院工学研究科 非常勤講師 久角喜徳
エネルギー変換システムにおける各構成機器の損失低減の余地を見出し,システム全体の効率向上を目指す指標となる状態量であるエクセルギーを用いた設計手法について,その基本と応用について講述する.
(3) 13:40~14:40 レーザー・イオンビームを用いた水素の界面現象計測
東京大学 生産技術研究所 教授 福谷克之
水素をエネルギー利用するためには,燃料電池触媒や水素貯蔵,水素生成などが必要であり,これらの現象では水素と物質界面とのミクロな相互作用の理解と制御が欠かせない.レーザーやイオンビームを用いて水素の界面現象を計測・分析する手法の原理と測定例を紹介する.
(4) 14:50~15:50 宇宙推進システム内における液体運動と熱交換の予測
東京大学 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 准教授 姫野武洋
液体水素が自由表面において搖動すると,気相と液相の間で熱交換が起こり複雑な挙動を示す.このような現象の解明は航空宇宙分野で精力的に行われており,エネルギー用途の水素においても同様にその成果を利用できる.宇宙推進システム内における液体水素の運動とそれを予測するための方法について紹介する.
(5) 16:00~17:00 燃焼機器開発に用いられる光学計測技術についての概要と適用事例の紹介
川崎重工業(株) 技術研究所 熱システム研究部 堀川敦史
ガスタービンやボイラ等の燃焼機器の開発では,燃焼器内部での流動や燃焼状態の把握が重要である.燃焼機器の開発にPIV法やLIF法等の光学計測技術を用いた事例について紹介する.事例紹介では特にガスタービン燃焼器内の流動や燃料噴射弁から噴射される噴霧,非定常な火炎挙動の可視化計測事例と水素ガスタービンについて紹介する.
11月13日(金)
(6) 9:00~10:00 定置用燃料電池および水素利用技術の開発状況
パナソニック(株) 先端研究本部 環境・エネルギー研究室 課長 岡市敦雄
エネファーム(定置用固体高分子形燃料電池)の本格普及を目指したパナソニックの取り組み状況と,次世代の固体酸化物形燃料電池の研究,来るべき水素社会に向けた純水素固体高分子形燃料電池の開発状況を紹介する.
(7) 10:10~11:00 水素ビジネス,わが社の取組み事例~水素ステーション用複合蓄圧器の開発~
サムテック(株) 高圧ガス容器部 次長 東條千太
2020年の東京オリンピックに向け,燃料電池車やコージェネレーションシステムをはじめとする水素社会が注目されている.サムテックでは1996年から高圧ガス容器の開発に取り組んでおり,本講では水素貯蔵アイテムである水素ステーション用複合蓄圧器の最新開発事例(安全性・コスト低減・今後の可能性)について紹介する.
(8) 11:10~12:00 水素ステーション機器パッケージHyAC mini
(株)神戸製鋼所 機械研究所 化学環境研究室 主任研究員 藤澤彰利
神戸製鋼所では商用ステーション普及に向けて,圧縮機・蓄圧機・冷凍機等の機器を一体化したコンパクトな水素ステーション機器パッケージHyAC miniを開発した.本発表では神戸製鋼GrにおけるHyAC miniを中心とした水素ステーション機器の開発状況について報告する.
(9) 13:00~14:00 ホンダにおける燃料電池車の開発状況と燃料電池関連技術に関する取組み
(株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第5技術開発室 主任研究員 岡部昌規
ホンダにおける燃料電池車の開発状況の紹介と,現在ホンダが進めている燃料電池車に関する実証試験の取組みである燃料電池車からの外部給電技術(非常用給電やビークルトゥホーム)や高圧水電解技術を用いたスマート水素ステーション技術について紹介する.
(10) 14:10~15:00 アンモニアによるエネルギーキャリアの開発動向
日揮(株) プロセス技術本部 技術イノベーションセンター 技術研究所長 藤村靖
海外のCO2フリーの水素エネルギーや再生可能エネルギーを日本で効率的に利用する技術として,これらのエネルギーを化学物質に転換・利用する技術が求められている.本講演ではエネルギーキャリアとして近年注目されているアンモニアについて,エネルギーとしてのアンモニア利用の歴史,近年の開発動向,エネルギーキャリア製造に適したアンモニア合成プロセスの考え方を紹介する.
(11) 15:10~16:00 有機ケミカルハイドライド法による水素の大規模貯蔵輸送技術
千代田化工建設(株) 技術開発ユニット兼水素チェーン事業推進ユニット 技師長 岡田佳巳
水素エネルギーを汎用のエネルギーとして大規模利用するためには,石油や天然ガスのように安全に大規模に「貯める」「運ぶ」ができることが必要である.本講演では,千代田化工が開発した有機ケミカルハイドライド法によるSPERA水素Ⓡシステムの概要,低炭素社会に向けた水素サプライチェーン構想,および本技術の応用展開の可能性について紹介する.
(12) 16:10~17:00 水素社会実現に向けた水素供給インフラ整備の展開
岩谷産業(株) 水素エネルギー部 シニアマネージャー 梶原昌高
水素は工業用のガスとして広く利用されてきたが,利用の過程でCO2 を排出しない等,環境負荷の少ないエネルギーとしても注目を集めている.本講演では,産業分野での水素利用の現状から,燃料電池車向けに整備が進んでいる水素ステーションの状況,燃料電池車以外の水素利用の一例として,スマートコミュニティでの水素利用の事例等を紹介する.
【定 員】
100名
【申込方法】
関西支部ホームページ(http://www.kansai.jsme.or.jp/)より申し込みができますので,ご利用ください.郵送,FAXまたはE-mailの場合は「関西支部第340回講習会申込」と題記し,(1)氏名・会員資格,(2)勤務先・所属部課名・住所,(3)通信先,(4)所属学協会名,(5)送金方法・送金額(内訳)・送金予定日および請求書の要・不要を明記のうえ,関西支部宛お申し込み下さい.聴講料は後日送付する請求書に記載の銀行口座または郵便振替口座宛ご送金下さい.現金書留または当日支払いも受け付けます.
【その他】
(1)申込受付後,聴講券をお送りしますので両日とも必ずご持参下さい.
(2)協賛学協会員の方も本会会員と同様にお取り扱い致します.
(3)受講をキャンセルされる場合は2日前までにご連絡願います.2日前までにご連絡のない場合は聴講料をお支払いいただきます.
【申込締切】
11月6日(金)(締切後でも定員に余裕があれば受け付けますのでお問合せ下さい)