第36回トワイライトセミナ- 安全学の確立に向けた取り組みと今後の展望
2015年4月28日 | 産業・化学機械と安全部門特別講演会主催No.15
【開催日】
2015年4月28日 (火) 18.30~20.00
【趣 旨】
当部門は機械学会の中でも,とりわけ横断的色彩が濃い部門である.対象は,建設機械,農業機械,食品(加工)機械など,多くの産業機械関連分野,そして,化学装置,化学プラント等,化学品製造に関わる化学機械関連分野である.当部門はこの特長を生かし,多種多様な関連産業に共通する課題を見いだし,情報の共有化,情報の発信をしていくことを使命と考えている.その一つとして「安全」を取り上げている.
また,関連する機械が多種多様であることから,社会で実務経験を有する技術者も多彩であることを示している.今日のように複雑化した機械技術においては,各技術者が専門とする技術のみでは解決できない場合も多々あると考える.複数の技術の融合により,より高度な技術に発展していく可能性がある.そのためには,情報収集と懇談の場を提供する必要があると考えて,本企画を計画した.今後も定期的に開催していく予定である.
【講演要旨】
これまで,安全に関する多くの工学や技術が,個別分野に特有の性質に基づいて開発され,発展してきた.安全は,優れて現場に立脚した個別技術という性格を有している.しかし,最近の安全問題は,各種の異分野間,階層間,機能間の境界で発生しつつある.また一方で,近年,大きなものから小さなものまで,「安全」が市民の生活と密接な関わりを持つようになってきた.現在,様々な学会や研究会などにおいて幅広く安全についての議論がおこなわれているが,安全のとらえ方やアプローチについては,工学,医学,社会学,経済学のそれぞれの見地によって異なっており,安全の専門家は,横断的,総合的,統一的な観点を持たざるを得なくなりつつある.また,国際的にみても,多分野における安全に関する学問の林立状態が続いており,今後は,これらをとりまとめ,安全に関する学問を体系化することが急務であると考えられる.そこで,本セミナーでは,安全を理念的な側面から,安全の知を統一的に概観し,体系化して,安全の共通部分を安全学として構築する試みを紹介する.この安全学よって,各分野の安全も,技術的側面,人間的側面,組織的側面で多くの普遍的で共通な点があることが分かる.また,異なった安全の分野の専門家も安全学の共通部分を通してコミュニケーションすることによって,各分野の安全のレベルを上げることができるだけでなく,共同で安全としての学問全体を豊かにすることが期待できる.
【講 師】
向殿 政男
明治大学名誉教授
【定 員】
30名