日本機械学会関西支部特別フォーラム 機械・構造物の「老い」と向き合う ~経年構造物をどう維持管理するか~
(協賛)
土木学会関西支部,日本建築学会近畿支部,日本材料学会関西支部,日本コンクリート工学協会近畿支部,日本高圧力技術協会,日本鉄鋼協会関西支部,日本非破壊検査協会関西支部,大阪科学技術センター
【趣旨】
関西支部では2008年から会員サービスの一環として「地球温暖化防止・エネルギー問題に機械技術が今どう取り組むべきか」「巨大災害に工学・技術が今どう取り組むべきか」といったタイムリーなテーマを毎年取り上げ,無料のフォーラムを実施してまいりました.2014年の特別フォーラムでは,近年重要な社会問題となっている「機械・構造物の経年化対策」を取り上げます.高度成長期から半世紀余りが経過し,橋梁などの社会インフラや工場設備の経年化が深刻な問題となっています.経年化対策は,先進国に共通する重要な問題で,その解決には,分野横断的な取り組みが必要であり,当然ながら機械技術者に課せられた使命も大きいものがあります.本フォーラムにおいては,「機械・構造物の「老い」と向き合う ~経年構造物をどう維持管理するか~」と題して,経年化が問題となっている様々な工学分野でご活躍の講師をお招きして,各分野でのインフラ構造物の経年化対策についてご紹介いただくとともに参加者で議論を深め,構造物の「老い」と向き合う手段について考えたいと思います.
【日時】
2014年9月26日(金) 13:00 ~ 17:00
【プログラム】
司会 関西支部 企画幹事長 阪上隆英(神戸大学教授)
13:00~13:05 開催挨拶 関西支部 支部長 小澤 守(関西大学教授)
13:05~13:55 経年化橋梁の維持管理への取り組み
大阪大学名誉教授,大阪工業大学教授 松井 繁之氏
高度経済成長期に建設された近代的橋梁は当時の設計寿命50年に到達しつつあり,高経年による種々の損傷が発生している.ここ10年来,我が国の財政事情と膨大な社会資本ストックのため維持管理を細やかに行い,長寿命化を図る必要がある.本講演では橋梁に起っている損傷を紹介し(視る),その原因の究明(診る)および補修補強の事例(看る)を紹介する.また,今後の対策として非破壊検査等の必要性を述べたい.
13:55~14:45 高経年化を迎えた製鉄設備の保全の取り組み
新日鐵住金〓 設備・保全技術センター 機械技術部長 別府 芳光氏
製鉄設備は,大規模で様々な種類の動機械・構造体から形成されており,適切な保全と安定稼働が極めて重要である.多くは,稼働後約40年以上経過し,基幹ラインの設備使用年数が長く,長周期の劣化や高サイクル疲労などの新たな課題も出ており,今後更なる信頼性確保と維持管理が不可欠となっている.そこで,これまで築き上げてきた保全の仕組みを振り返り,今後の高経年化に対応した取り組みについて紹介する.
15:05~15:55 化学プラントにおける経年化対策
東燃ゼネラル石油〓 製造技術本部 設備管理統括部長 大木 達郎氏
石油精製設備における劣化要因は複雑であり,経年劣化への対応には,劣化メカニズム,寿命予測,寿命に達した場合の影響等の情報を正確に把握し,機器毎の保全戦略を構築,実行するシステマティックな活動が重要です.講演では,リライアビリティ・センタード・メンテナンス等の新しい手法にも触れながら,取り組みの一端をご紹介したい.
15:55~16:45 社会資本整備の現状と維持管理の最近の動向
国土交通省近畿地方整備局 道路部 道路保全企画官 先本 勉氏
我が国では,昭和39年の東京オリンピックの頃に整備された道路など,高度成長期以降に整備したインフラが,今後急速に老朽化する.国民が安心して既存のインフラを利用し続けることができるようにするためには,適切な点検による現状確認と,その結果に基づく的確な修繕の実施が不可欠である.このため,現在国土交通省で取り組んでいる,維持管理の動向について報告し,構造物の高齢化と向き合うきっかけになればと思っている.
16:45~17:00 総合討論
司会 関西支部 副支部長 野村 剛(パナソニック〓 常務取締役 モノづくり本部長)
○定員:100名