第111回講習会「機械工学の基礎講習会」 ものづくりのための材料力学の基礎 (初級2日間コース)
日本機械学会中国四国支部では,従来の講習会を見直すことで支部会員および地域へより大きく貢献することをめざし新しい形式の講習会「機械工 学の基礎講習会」を企画しました.中国四国地域の企業が社員教育等で利用できるような基礎的な講習会を永続的に実施することを目的とし,新入社員教育から 経験を積んだ後の再教育に対応できるように,初級から上級までの機械工学の基礎分野の講習会を実施します.今回も材料力学(初級コース)の講習会を企画し ました.参加者を少人数に絞り講師との質疑応答等を通して十分に理解できるようにします.
【対象】
材料力学の基礎を学びたい方,復習が必要になった方,企業での新人教育 等.
【講師】
広島大学大学院工学研究院 機械システム・応用力学部門 教授 澤 俊行
【次第】
9月14日(火)
【午前】9.30~12.00
1.機械に関する事故例とその原因
国内で発生した機械に関わるいくつかの事故例を示し,その原因について考える.さらに事故防止の観点からものづくりのために必要な材料力学の 基礎事項について述べる.
2.材料力学の基礎
はじめに材料力学を理解するために必要な初等力学に関する知識の確認を行う.機械/部品の強度を評価するための基礎的基準である,応力とひず みの定義およびこれらに関する簡単な計算練習を行う.さらに熱応力についても触れる.
【午後】13.00~16.30
3.材料の挙動
延性材料と脆性材料の応力‐ひずみ曲線といつ破損するのか,という基本的問題に関して,一軸引っ張り荷重を受ける丸棒の試験結果に基づき,考 えられる最大主応力説と最大せん断応力説と対比しながら丸棒の破損/破断を考える.さらに機械部品に発生する応力集中と疲労破壊に関する基礎についても述 べる.
4.複雑な荷重形態
弾性体に二軸方向に引っ張り荷重が作用したときに弾性体内の応力はどのようになるのか,どのような応力状態に達すると壊れるのか,について調 べる.さらに丸棒をねじったときに丸棒に生じるせん断応力はどのように求めるのかを理論的に考え,さらに計算問題を行いながらねじり問題を学ぶ.
9月15日(水)
【午前】9.30~12.00
5.梁の曲げ応力と力学
実践で使用されるはりの理論について学ぶ.はりが曲げ応力で破損するときのはりに生じる最大の曲げモーメント推定のためのせん断力線図と曲げ モーメント線図の作成について学ぶ.さらにはりの断面に生じる最大の曲げ応力の求め方,どのような断面形状にすると曲げモーメントに強いのか,についても 思考をめぐらせる.はりのたわみの求め方も学ぶ.
【午後】13.00~16.30
6.実際の破壊を招く応力状態
すでに学んだ曲げモーメントとねじりにより生じる曲げ応力とせん断応力を同時に受ける実際例として,軸の応力計算を行う.前項4の応力状態に さらにせん断応力を加味した弾性体に関する最大主応力と最大せん断応力に基づき,このような軸の直径あるいは材料強度の決定の仕方について考える.練習問 題により考え方を身につける.はりのたわみに基づいた軸の危険速度の推定法についても考える.
7.有限要素法シミュレーションの基礎と実際例
事故例を考慮しつつ,実際に機械構造物/部品で強度が問題になる場合の有限要素法による計算例と問題点について考える.
8.質疑・応答
社会生活および機械技術のなかで材料力学が役に立っていること,講義を通じて理解が難しかったこと,さらに現在抱えている材料力学に関する問 題などを討論/検討する.
【教材】
再入門・材料力学 基礎編 日経 ものづくりの本
【申込方法】
はがき,FAXまたはE-mailで「第111回講習会申しみ」と題記し,(1)氏名,会員番号,(2)勤務先名称,所属部課名,(3)通信 先(郵便番号,住所,電話番号,FAX番号,E-mailアドレス),(4)送金内訳と振込み日(または振込み予定日)をご記入の上お申し込み下さい.送 金は,銀行振込み(広島銀行西条南支店,普通預金,No.2429670)または郵便振替(03170-6-5207)をご利用下さい.(口座名:(社) 日本機械学会中国四国支部).なお,送金には,上記内容を記入した用紙を添えて現金書留をご利用いただいても結構です.