日本機械学会連続講座「法と経済で読み解く技術のリスクと安全」~社会はあなたの新技術を受け入れるか~第2回 法律は技術の安全に寄与しているのか
(共 催) NEDO
【開催日】
2013年7月19日(金)17.30~19.30
【趣 旨】
福島第一原子力発電所の事故は技術の安全性に対する人々の信頼を失わせた.しかし,技術なしに現代社会は成り立たない.また,介護ロボットのような新技術は私たちの生活の質を向上させることが期待される.一方で,技術にはリスクがつきまとう.介護ロボットの誤作動で被介護者が死傷することもあり得る.社会に利益をもたらすとともに,リスクを内包する技術はどのような条件の下で社会に受け入れられるのだろうか.リスクが現実化したとき,技術者の責任は問われるのだろうか.今,新技術の開発に従事する技術者の胸に去来するこのような疑問に,現在の法制度のみならず,法と経済学,正義論なども視野に入れて,体系的に答えようという野心的な試みからこの講座は生まれた.技術のリスクと安全に関心のあるすべての技術者に是非聴講していただきたい.
なお,本講座は,日本機械学会が,(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構のご支援のもと,毎月1回程度の連続講座として,受講料無料で開催するものであり,出席率の高い受講者には,修了証書を付与する.
第2回講師 近藤惠嗣
福田・近藤法律事務所 弁護士
労働安全衛生法はクレーンなどの安全基準に根拠を与えているほか,労働者の安全を確保するために事業者にいろいろな措置を義務づけている.死傷者を伴う事故が起きると,安全管理責任者が業務上過失致死傷罪の疑いで捜査の対象となる.こうしたことは多くの技術者の知るところである.
ところが,そもそも,法律とは何なのか,法律的なものの考え方にはどのような特徴があるのかということを知ろうとする技術者はまれである.技術者にとって,法律は融通の利かない制約でしかない.
技術に関わるリスクと安全についての制度設計をする場合に,教育や倫理の役割も否定できないが,主役となるのは法律による規制であろう.したがって,法律の解釈や創造を法律家に任せておくのではなく,技術者の側も法律の論理を理解し,あるべき法規制を法律家に対して提言することが必要となる.
もっとも,法による個別の規制が不合理であるという声が技術者から上がることはこれまでにもあっただろう.しかし,法律家から個別の法律の背後にある法律特有の論理を持ち出されて反論されると,技術者の側は再反論に詰まってしまうことになる.
さまざまな新技術が誕生している21世紀という時代の要請に応えるには,技術者の側が法律特有の論理を乗り越えなければならない.そのためには,まず,現在の法律の背後にある論理を理解しなければならない.連続講座第2回は,法規制の一般的な構造を明らかにするとともに,法律学の論理構造が実は工学と似ていることを説明し,工学の論理で法律学を理解する方法を提示する.
【定 員】
60名(申込み先着順により,定員に達し次第締め切ります)