流体とインフォマティクス
【企画】
流体工学部門
【開催日】
2024年4月25日(木) 9:30~17:10
【協賛】
自動車技術会、日本航空宇宙学会、日本流体力学会、日本混相流学会、可視化情報学会、日本伝熱学会、日本ガスタービン学会、ターボ機械協会、日本原子力学会、日本森林学会、日本気象学会、日本計算工学会、日本シミュレーション学会、オープンCAE学会、情報処理学会、進化計算学会
【開催形態】
オンライン開催
※Zoomを利用(URLやミーティングID,パスワードは2024年4月22日(月)にご連絡いたします。)
【趣旨】
設計・研究の現場において、「もっと効率的に設計パラメータを評価したい」「計測、解析データから有意義な情報を抽出したい」「流行りのAI・機械学習の事例を知りたい」と感じることはないでしょうか。近年、従来の工学的手法と情報科学的なアプローチを融合し、有用な情報を抽出する新しい問題解決手段が着目されており、本講習会ではその中でも特に流体問題への適用に着目し「デジタルツイン」「最適化」「機械学習」などの新しい問題解決法をテーマに、その実際に関して広く紹介いたします。本講習会は、主に企業の技術者・研究者や、学部・大学院の学生の方々を対象としております。本講習会はサテライト受講形式でのライブ配信を行なう予定で、WEB会議システムを用いて、自社会議室等で受講いただけます。多数の皆様の参加をお待ちしております。
【プログラム】
9:30-9:40 挨拶・緒説明 (10分)
株式会社日立製作所 小針達也、株式会社IHI 宮浦拓人、株式会社荏原製作所 安炳辰
9:40-11:10 東北大学 大林茂 教授 (90分)
「フルードインフォマティクス2.0」
近年、CAE(computer aided engineering)が実用化され、シミュレーションは実験と並ぶ研究開発の重要な柱となっている。Society 5.0 の実現が謳われる今日、シミュレーションと実験を繋ぎ、双方の情報を最大限に活用することが望まれている。データ科学の手法であるデータ同化を用いれば、シミュレーションと実験を統計的に適切に融合することが可能となり、真のデジタルツインが実現する。本講演では、流体科学とデータ科学の融合による「フルードインフォマティクス」の新たな展開を紹介する。
11:20-12:20 九州大学 下山幸治 教授 (60分)
「流体解析・設計のためのデータ駆動・データインフォームドアプローチ」
流体力学は、家電などの小型のものから、自動車・航空機などの大型のものまで、我々の身近にある様々な流体機械を支配する複雑系の物理です。昨今では、高性能のコンピュータを用いて複雑な流体現象を数値的に解析することで、様々な流体機械の性能を手軽に評価できるようになりましたが、解析結果を流体機械の「ものづくり」に落とし込む作業は依然として困難であるため、流体解析からものづくりまでのプロセスを一貫して支援できるアプローチの開発が望まれます。本講演では、流体力学とデータ科学を融合させることで、流体機械とそのシステムの最適化・強靭化・知的化に貢献するデータ駆動型アプローチに関する研究を紹介します。
12:20-13:40 昼休み
13:40-14:40 名古屋大学 野々村拓 教授 (60分)
「流体力学の低次元モデルとスパースセンシング」
流体力学の高次元データは固有直交分解や動的モード分解を利用することにより、少数の潜在変数で表現できる可能性がある。この低次元化された表現を利用することにより、感度の良い少数のスパースなセンサ情報のみから流れ場全体を復元できる可能性が見えつつある。本講演では、流体力学の低次元モデルおよびセンサ位置最適化に関してその概要を説明し、このアイデアの具体例としてスパースプロセッシングPIV(粒子画像速度測定法)によりリアルタイム流体場観測が可能となることを説明する。
14:50-15:50 東京大学 長谷川洋介 教授 (60分)
「物理法則を考慮した深層ネットワークの基礎と熱流体工学における逆問題への応用」
データ駆動型アプローチの熱流体工学への応用が進んでおり、今後、更なる進展が期待されている。しかし、データ駆動型アプローチでは、通常、十分なトレーニングデータを必要とし、それに基づいて予測された結果は、必ずしも物理法則を満足するものとは限らない。一方、近年、物理現象の支配方程式を陽的に考慮したり、非物理的な解を予め排除した深層ネットワークを用いることによって、学習データが少ない状況においても、様々な熱流体工学における逆問題を扱うことが可能となりつつある。本講義では、物理法則を考慮した深層ネットワークの基礎から応用までを概説する。
16:00-17:00 東京大学 三輪修一郎 准教授 (60分)
「ディープラーニングを用いた熱流動解析事例:現状と課題」
熱流動現象の解明は、システム設計や相変化ダイナミクスの基礎研究の領域において重要である。特に、サブクール沸騰をはじめとした相変化冷却においては、気泡の生成から離脱までのライフサイクルをはじめとした気泡ダイナミクスの解明が、熱伝達率評価に影響を与えることが知られている。近年、データ駆動型解析手法の一つとしてディープラーニングによるモデル開発が幅広い工学系分野において注目されている。本講演では、ディープラーニングをベースとした物体検出技術の応用例と、近年注目されているPhysics-informed Neural Networks(PINNs)の応用例について説明を行う。物体検出の事例では、深層学習を用いたサブクール沸騰における凝縮気泡の検出・追跡手法を検討し、その有効性について検証を行った。本手法では、高速度カメラにより撮影されたサブクール気泡の画像群をベースに物体検出モデルを構成し、その後、連続するフレーム間での気泡のライフサイクルをトラッキング(追跡)した。本手法では、凝縮気泡の約90%を検出するロバストな能力を実証した。さらに、提案したAIベースのモデルを用いてアスペクト比、ザウター平均径、離脱径、成長時間、気泡寿命などの主要な熱流動パラメータを抽出し、既存の構成方程式との比較を行った。その結果、既存の経験則との一貫性が示されたと同時に、平均化された値のみを算出する相関式からは評価が困難な変動値の抽出が定量的に可能であることも示唆された。第二のテーマとして、PINNsをベースとした流体解析についての説明を行う。ニューラルネットへ偏微分方程式等の物理法則を紐づけたPINNsは、流体力学の諸問題を解決するための潜在的な手法の一つとして注目されている。従来のPINNsは、サンプリング点の選択、損失項目のバランス、ハイパーパラメータの最適化などの難しさによる制限にしばしば遭遇し、PINNsの非収束につながる事例が報告されている。これらの問題を克服するため、残差ベースの適応的サンプリング等を用いた最適化アルゴリズムを検討し、3つの多次元単相流のケーススタディを用いて検証を行った。理論的な解析解とベンチマークCFD計算結果の両方と比較し、概ね良い一致が見られた。本発表では、以上の二つの解析事例をもとに、ディープラーニングを熱流動諸問題へ応用する際の可能性と課題点等について述べる。
17:00-17:10 クロージング
【定員】90名程度.申し込み先着順により定員になり次第締め切ります.
【参加費】正員・特別員17,000円,会員外29,000円,学生員/大学院生の会員(正員)7,000円,一般学生12, 000円.協賛団体会員の方も本会会員と同様の料金とさせて頂きます.
本講習会では大学院生の会員(正員)は,学生員の聴講料で参加できます.
・参加費はいずれも税込み価格です.
・学生員から正員資格へ変更された方は,卒業後3 年間,本会講習会への聴講は学生員価格にて参加が可能です.申込先フォームの会員資格は「正員(学生員から正員への継続特典対象者)を選択し,通信欄に卒業年と卒業された学校名を記載してください.
・機械学会特別員(法人会員)資格にてご参加の場合は、会員番号欄に11桁の行事参加料割引コード(XXXXXXX-XXXX)をご入力ください.
・「特別員行事参加無料券」を利用される場合、聴講料は無料となります。「特別員 行事参加無料券利用」を選択のうえお申込みください。申込完了後、担当職員まで「自動返信メール」を印刷したものと「特別行事参加無料券(原本)」をご郵送ください。「
・協賛学協会会員の方は「協賛団体一般」「協賛団体学生員」を選択し、会員番号欄に所属団体の会員番号を、通信欄には協賛団体名をご記入ください.
【教 材】教材のみの販売はいたしません.本講習会は講習会参加者に限り,教材の電子ファイルを提供いたします.
【申込方法】Payventにて受付します.
https://app.payvent.net/embedded_forms/show/65dd72c0240b243dd5e47e13
【参加費の支払いについて】
■参加費については,必ず4月19日(金)までに決済をお願いします.
■聴講料のお支払いには,クレジットカード(Apple pay、Google pay含む)・銀行振込のいずれかがお使いいただけます.
■銀行振込の際の振込手数料は,各自でご負担いただきます。予めご了承ください。また、振込先の口座は申し込みごとに異なり、他の申し込みとまとめてのお支払いは出来かねます
■銀行振込でのお支払期限は,原則としてお申し込みから3日以内です。ご入金が確認出来ない場合、こちらでキャンセル処理をさせていただきますのでご了承ください.
■お申込内容は,Payventより配信されるお申し込み完了メールからご確認いただけます。メールが届かない場合は,「payvent.net」からのメールを許可するように受信設定をお願いします.
■原則として,お支払い完了後はキャンセルのお申し出があってもご返金できませんので何卒ご了承ください.
【領収書について】
■領収書のお宛名には参加者の氏名が自動で記載されます.ご所属先を宛名に追加する場合は申込フォームの”領収書のお宛名”欄に記載をお願い致します.(こちらに氏名を入力しますと,宛名に氏名が重複しますのでご注意ください.
■領収書はPayventからのお支払い完了メールに記載されているURLよりダウンロードいただけます.
【注意事項】
■本講習会はZoomミーティングを利用してオンラインで開催いたします.必ず前日までに通信環境や必要機材の準備・確認をした上でご参加ください.
■遠隔参加のための技術的なサポートはできませんので、ご了承ください.
■参加者による講習会の静止画/動画撮影・録音は禁止です.
■当日の発表の音声・スライドの著作権は発表者に帰属します.
■資料の二次配布は禁止されています.
【問い合わせ先】一般社団法人 日本機械学会 総合企画グループ 佐藤彩乃
〒162-0814東京都新宿区新小川町4-1 KDX飯田橋スクエア2階
Tel: 03-4335-7615/E-mail: sato@jsme.or.jp