第10回技術者のための技術者倫理セミナー -事故・不祥事の背景から学ぶリスクマネジメント:技術者の責任のとり方-
2013年5月18日 | マイクロ・ナノ工学部門 技術と社会部門特別講演会主催No.13
〔後援 日本技術士会〕
【開 催 日】
2013年5月18日(土)10.00~17.00
【今回のテーマおよび論点】
「技術的事故の解明と責任とは何か.福島第一原子力発電所の事故から学ぶリスクマネジメント」今回は,2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を取り上げ,技術者の責任とは何かについて考察する.現在、技術は高度になり,また,システムとして複雑に絡み合っている.したがって,一旦事故が起こると市民生活に及ぼす影響は計り知れないことになる.そのため,個々の技術者は常日頃から事故が起こったときのことを考え,リスクに備えて対策をとることが必要である.
今回は,この事故に対して設置された国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の報告書(英語版)にあるように,この事故は日本独特のものだったか,日本風土によるものであったか,もし,そうなら今後リスクを考えるときに,事故が起こる可能性のある日本的な考えを排除するという意識改革が必要になるが,海外ではこのような事故は起こりえないのか,などについて議論を進め,技術者の責任体制と責任のとり方について意見交換を行う.
セミナーでは,次の手順により議論を進める.
1.事前に配付された資料による自主学習.
2.グループ意見交換において,自分の意見を明らかにする.
3.全体討論において自分の立場を明確にして議論する.
事前に配付する資料を読んで頂いて,参加されることを前提とする.
【趣 旨】
原子力発電所の事故は,後世まで残る課題であり,現在の日本の社会,市民生活に大きな影響を与えているだけでなく,今後の日本の発展,市民生活に多大な影響を与えることは必至である.これまで日本は,科学技術の蓄積・普及により現代社会が著しい発展を遂げていることは誰もが認めることであり,そのための専門技術の重要性とそれを担う専門技術者の重要性はますます大きくなる.さらに技術の複合化,総合化は技術者がその専門領域にのみ留まることを許さず,関連分野を含めて専門職として社会に積極的に関与することが求められている.しかしながら,技術者が責任を持って行動するために必要な組織や社会における地位は変わらない.
科学技術に関わる事故・不祥事は,注意不足/説明不足等による技術者の能力に起因するもの,不適当な情報により境界の線引きを誤るもの,技術的問題は判っているが組織のリスク判断逸脱等の様々な状況があるが,いずれにしても技術を専門としている技術者の関わりが大きく,技術者が主体となって解決しなければならない.
このセミナーでは,過去に起きた事故・不祥事を取り上げ討論してきており,今回は、福島第一原子力発電所の事故を取り上げ,「安全とは何か」,「事故防止のための管理体制をどうするか」について,共通認識を持った上で,自分自身はどのような意見を持つかを明確にして議論を行う.午後の全体討論が主となるが,事故の認識を深めるため,グループで議論して自分の意見及び立場を明確にし,全体討議へ参加して頂く.
【プログラム】
10.00~10.10/セミナーの趣旨説明,本日の進め方
横浜国立大学 大学院工学研究院 教授(主査)高田 一
10.10~10.50/技術者の責任と日本的風土の考え方
東京農工大学 技術経営研究科 教授 技術士 中村昌允
10.50~11.10/討議の進め方
日本技術士会 理事 技術士 岡田惠夫
11.15~13.00/グループワーク
講師全員
13.00~17.00/技術者倫理に関する全体討論
(株)日機装技術研究所 テクニカルアドバイザー 技術士 小西義昭
明治大学 理工学部 准教授 村田良美
講師全員
司会 高田 一
【定 員】
30名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.