東北地区特別講演会「身体の限界を超えるロボティクスへの挑戦」
2020年2月21日 | ロボティクス・メカトロニクス部門特別講演会主催No.19-396
日時: 2020年2月21日(金) 15:00~17:30
アクセス: 地図をご参照下さい。
プログラム
(1) 15:00~16:10 「超長尺多関節マニピュレータの開発」
講師: 遠藤 玄(東京工業大学 准教授)
細径・軽量でなおかつ全長10mを超えるような超長尺多関節アームが実現できれば,橋梁やトンネル,工場プラントなどのインフラ検査に有用である.特に日本の国家的喫緊の課題である福島第一原子力発電所の廃炉作業においては,各種調査に超長尺アームが有効である.片持ち構造の長尺アームを構成する際,最も困難であるのが,根元関節部分に働く自重による巨大なモーメントを如何に支えるか,という問題である.重力に対してどのようにして抗うか,とも言い換えられよう.本講演では,これらを解決する超長尺多関節マニピュレータの構成法を複数紹介するとともに,各々の試作機について紹介する.特に化学繊維ロープを用い,複数関節を干渉駆動することで自重によるモ ーメントを分散して支えることで,全長10m可搬質量10㎏を達成した試作機Super Dragonについて開発の過程を詳細に解説する.
(2) 16:20~17:30 「ソフト体性感覚受容」
講師: 細田 耕(大阪大学 教授)
体性感覚とは,生理学・医学用語で皮膚感覚,深部感覚など,自身の状態についての感覚を指す.エージェントの身体が硬い場合,体性感覚は,身体に関する情報のみを得ることになり,環境を観測するためには改めて別の「外界センサ」を使う必要がある.一方で,身体が柔らかいソフトロボットの場合,環境の情報は,身体ダイナミクスとのインタラクションを介して,これらの体性感覚から得られる.これがソフト体性感覚受容であり,ロボットを適応的にするために重要な役割を示す.本講演では,このようなソフト体性感覚受容について,ソフトロボットに関するいつくかの例題に触れながら,その有効性と今後の展望について考える.