最適設計法の数理 ~最適性条件からトポロジー最適設計
2019年11月18日 | 設計工学・システム部門講習会主催No.19-341
企 画 設計工学・システム部門
協 賛 精密工学会,自動車技術会,日本航空宇宙学会,日本設計工学会,日本計算工学会,塑性加工学会,日本船舶海洋工学会
開催日 2019 年 11月 18日(月)
主 旨
一昨年,昨年と「実践に向けた最適設計法」と題して,最適設計法の利用に焦点をあて,「トポロジー最適設計」,「ロバスト最適
設計」,「多目的最適設計」および「近似最適設計」における応用例紹介を中心とした講習会を開催しました.
この講習会において,「応用例だけでなく数理面について知りたい」という声が多く寄せられたことから,今回は,トポロジー最適
設計の数理面に特化した講習会を企画しました.まずは,最適設計の必要条件として知られているKKT条件の詳細,数理的に切って
も切れない関係にある最適設計と変分法との関連について詳細を説明した後,トポロジー最適設計における感度解析や正則化条件な
どの数理面に焦点をあてた説明を行います.数式がたくさん出てきますので,苦手とする方もいらっしゃるかもしれませんが,最適
設計の研究者が最も得意とする領域が紹介できる貴重な機会となります.
題 目
- 10:30-11:50
「ラグランジュ未定乗数法とKKT条件」
大阪府立大学大学院工学研究科 教授 小木曽 望
非線形計画問題の定式化,最適解が満たすべき必要条件として知られているKKT(Karush-Kuhn-Tucker)条件について,定式化の基
礎から詳しく説明する.特にラグランジュ乗数の意味は制約条件に関する感度としての意味をもつことは意外と知られていないよう
なので,それについても詳しく説明する.また,これは午後から行うトポロジー最適設計の数理の基礎としての位置づけになる.
昼食・休憩(70分)
- 13:00-14:20
「変分法と双対性」
東京大学 数理・情報教育研究センター 教授 寒野 善博
変分問題は一言で言えば無限次元の最適化問題であり,その理論や解法である変分法は形状最適化・トポロジー最適化の基礎をな
す.この観点から,変分法の枠組みを俯瞰する.特に,午前中の講義との関連から,拘束条件をもつ変分問題に対してラグランジュ
乗数を用いた扱い方を解説する.次に,変分法の理論の核をなす双対性について述べる.その中心となるのは,凸性の概念とルジャ
ンドル変換である.また,この後の講義で必要とする,関数の滑らかさや弱形式についても簡単に触れる.
休憩(10分)
- 14:30-15:50
「随伴変数法による感度解析」
京都大学大学院工学研究科 助教 山田 崇恭
形状最適化やトポロジー最適化の要となる感度解析について概説する.最初に,セアの方法に基づいた随伴変数法による感度解析手
法について説明する.一般論の後に,定常熱伝導方程式系と弾性方程式系を例にとり,形状感度解析の具体的な導出方法を詳細に説
明する.次に,トポロジー導関数の考え方を概説し,その設計への応用方法について説明する.さらには,トポロジー導関数の導出
に必要な偏微分方程式の解析解を導出し,トポロジー導関数の導出方法について説明する.
休憩(10分)
4. 16:00-17:20
「最適化問題の正則化・設計空間の緩和」
京都大学大学院工学研究科 教授 西脇 眞二
形状最適化・トポロジー最適化は,本質的に,設計変数,目的関数やその設計感度が十分な滑らかさを持たない,いわゆるill-posed
な問題となる.本講義では,形状最適化・トポロジー最適化のもつ滑らかさの問題について,数学的および力学的に説明するととも
に,その滑らかさの問題を解決するための最適化問題の正則化・設計空間の緩和の方法について概説する.
5. 17:20-17:40
質疑応答&まとめ
定員 50名
教 材
教材のみ希望の場合は,また聴講者で教材を余分にご希望の方は
Web ( https://www2.jsme.or.jp/fw/index.php?action=kousyu_index&gyojino=19-341 ) からお申し込み下さい.
1冊につき,会員4,000円,会員外6,000円にて頒布いたしますので,開催前に予約申込み下さい.講習会終了後発送いたします.