イブニングセミナー(第231回)「気になりませんか日本海」
企画 技術と社会部門
開催日 2019年8月28日(水)18.00~20.00
趣 旨
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.
われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.
技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
テーマおよび講師
日本海というと,時々ミサイルが飛んできたり,漂流民が流れ着いたりする話かと,顔をそむける方がいらっしゃるかもしれません.しかしここでは最近の政治が絡む話は一切出てきません.日本海という小さな海を愛おしみ,40年以上にわたって観測を続けてきた偏執的な海洋学者の回想話です.
軽々しく「小さな海」などと書きましたが,日本海のことを知れば知るほど,恵みの海としての日本海の大きさには圧倒されるばかりです.われわれ日本人にとって日本海がいかに大切で,なくてはならない存在であるのか,そのことを,普段われわれはほとんど意識していませんが,もし日本海が無かったら日本列島は一体どうなってしまうか,少し想像してみればすぐにお分かりになると思います.
自然科学的な研究対象としても,日本海は世界に二つとない,きわめて重要な存在と言えるでしょう.世界中の海と比べれば,たった0.1%の体積しかないにもかかわらず,日本海は「ミニ海洋」とか「世界の海のミニチュア版」と呼ばれ,国内のみならず海外の研究者からも熱い視線を浴びています.いったい何故でしょうか.
そして日本海もまた,最近の地球環境変化の渦中にあります.日本海は,その規模の小ささ故に,環境変化に対して敏感な体質を備えています(「炭鉱のカナリア」に例える人もいます).日本海の海洋環境は,今どう変わりつつあるのかについて,最近の海洋観測データをもとにご紹介し,今後、日本海が果たすべき役割について考えたいと思います.
講師: 蒲生俊敬(東京大学名誉教授 大気海洋研究所)
次回の予定
2019年9月25日(水)テーマ:未定
2019年10月30日(水)低音巨大フルートに挑む/古田土勝市(古田土フルート工房)