インデンテーションによる材料特性の高効率同定
(材料力学部門企画)
開催日 2019年10月11日(金)
趣 旨
インデンテーション試験は,材料中の局所的な機械特性を評価する手法として開発されてきました.今日までに,押込み中の深さ
および荷重を測定して得られる押込み深さ―荷重曲線を用いて,様々な材料特性を評価する手法が提案されています.
本試験の特徴として,①試験領域が小さく,②材料の形状に依存しないことが挙げられます.そのため,非破壊検査としての応用が
期待できるともに,通常の試験では同定が困難な薄膜など微小領域の特性も評価が可能であります.
さらに,材料開発の現場では,同一試験片上に複数回の試験を行うことができることから,従来の試験と比較して時間とコストを大
幅に削減できます.現在のところ,インデンテーションによる材料評価は,材料研究の現場では既に簡便・高速な評価手法として役
立てられています.
本講習会では,インデンテーション試験によって何が評価でき,どのように材料開発に応用できるかを理解してもらうことを目的と
します.そのため,本試験の原理や現状の規格を説明するとともに,弾性や粘弾性,強度などの各種材料特性の評価手法を,応用事
例を交えて紹介します.
題目・講師 (司会 牛島 邦晴)
10.00–11.00/(1)インデンテーション試験の基礎
「硬度」の材料物理学に焦点を当てる中で,インデンテーション試験で計測定量される力学物性(弾性,弾塑性,粘弾性等)を統一的に論じる.さらに現在の汎用計測装置・データ解析法に内在する問題点・課題を整理する.
豊橋技術科学大学 名誉教授 逆井 基次
11.10–12.30/(2)弾塑性特性の同定
2圧子法による応力-ひずみ関係の求め方,その際の注意点について紹介する.本手法は,微破壊で弾塑性特性評価が可能であるが,適用限界や微小領域を対象にするが故に生じる誤差要因を把握しておくことが肝要である.
防衛大学校 教授 小笠原 永久
13.30–14.15/(3)ソフトマテリアルの特性同定
材料表面に光学的に透明なプローブを接触させる圧子力学顕微鏡(顕微インデンター)は,ソフトマテリアルが見せる極めて特異な接触変形挙動の「その場観測」を可能とする新しい計装化インデンテーション装置である.ソフトマテリアルの接触荷重と接触面積の同時計測データを解析し,力学的非線形性や時間依存型変形特性を定量評価する新手法を紹介する.
産業技術総合研究所 主任研究員 宮島 達也
14.15–15.00/(4)クリープ特性の同定
インデンテーション法を用いて,一軸試験法で得られるクリープ特性と同等な結果を得ることができることを説明する.また,その手順や注意すべき事柄についても述べる.
日本大学 准教授 高木 秀有
15.10-16.00/(5)応用事例―マルチスケールな強度解析
インデンテーション試験による特性評価を材料開発に応用した事例を紹介する.特に,本試験特有の強みである「局所性」に焦点を当て,従来の試験では達成が困難な高効率同定の意義に言及する.
物質・材料研究機構 ポスドク研究員 後藤 健太
定 員 30名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
教 材
教材のみご希望の方には,1冊につき会員2 000円,会員外3 000円にて頒布いたしますので,代金を添えてお申し込み下さい.
講習会終了後発送いたします.なお,本講習会終了後は教材を販売いたしません.入手ご希望の方は本行事にご参加いただくか,
または上記と同様の方法にて開催前に事前予約申込みをお願いいたします.