交通・物流のダイナミクスの俯瞰 ~共通点と相違点の理解~
(主催:日本機械学会 交通・物流部門)
〔協賛:レール・車輪接触力学研究会・自動車技術会〕
(日本機械学会 交通・物流部門企画)
開催日 2018年11月12日(月)
趣 旨
専門分野の深い知識を持ったスペシャリストをI型人材と呼ぶことがあります(Iは深さの模式化です).I型のさらなる進化としてT型人材があります.これは,専門領域だけでなく,その周辺領域(Tの横棒-)にも知識を持つことで,専門分野を客観視したり,周辺領域の技術を専門分野に取り入れるたりするなどによって,専門分野で先進的に活動できるとされる人材です.
この観点から交通・物流の機械を俯瞰しますと,この領域は,自動車や鉄道車両・航空機・船舶・昇降機・遊戯施設と多岐に及びますが,これらは全て移動する・させることによって初めて機能を果たします.そのため,これらのダイナミクスには多くの共通点があります.例えば,自動車のタイヤや鉄道車両の車輪,航空機の翼や船舶の船体は,それぞれの中心線と進行方向の向きとの角度に応じて力が発生しますので,運動方程式(ma=F)の右辺には類似項があります.また運動方程式だけでなく,現象面にも共通点があります.例えば自動車や鉄道車両は,高速になると自励振動による蛇行が生じて不安定になることがあります.このような共通点がある一方,相違点もあります.例えば,自動車のタイヤと鉄道の車輪では,スリップ角・アタック角に比例して力が発生し,角度が大きくなると飽和して十分な旋回力が得られなくなる点は共通ですが,その角度は10倍ほども違います.このように,交通・物流機械の共通点や相違点とその理由を知ることにより,皆様の専門知識がさらに深まることが期待できます.そこで,各機械についての運動方程式や安定論(応答性),計測・制御からなどの実務面から見た主要課題,他機械との比較についてのセミナーを初めて企画いたしました.今回は,第1回目として特に自動車と鉄道車両を取り上げました.このセミナーは,T型の「-」,すなわち周辺分野ですので,エンジニアと学生との共通レベルです.交通・物流機械にご興味のあるエンジニアの皆様や学生諸君の参加をお待ちいたします.なお,このセミナーは会場使用の条件として利益が出ないように企画されています.
内 容 13:00~16:45 開場は12:30です.これ以前のご来場はご遠慮下さい.
司会:綱島 均(日本大学)
13:00~13:05 挨拶
13:05~13:35 タイヤ/路面の接触と発生力:桑山 勲(ブリヂストン)
13:35:14~30 自動車のダイナミクス:酒井英樹(近畿大学)
14:45~16:10 車輪とレール接触と鉄道車両のダイナミクス:松本 陽(日本大学),道辻洋平(茨城大学)
16:10~16:40 総合討論(自動車と鉄道の共通点と相違点)
16:40~16:45 挨拶