イブニングセミナー(第217回)協同組合と無形文化遺産
企画 技術と社会部門
開催日 2018年5月30日(水)18.00~20.00
■趣旨
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.
われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.
技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
■講演テーマおよび講師
協同組合というと,農協,漁協それに生協を思い浮かべ,ユネスコの無形文化遺産も同様に知っているつもりでよくわからない.JA全農ウィークリーに,「ドイツの協同組合が無形文化遺産に認定された」という記事があると聞かされても「???」である.無形文化遺産とは,伝統工芸か祭礼のことと思っていたからである.
協同組合が普通の会社と違うのは,組合員だけが利用できる閉じた組織と思っていたが,たとえば消費生活協同組合は食品添加物や有害な食品から消費者を守るために,取扱い商品を制限したりしていた.今ではそれらは社会常識になり,今は組合員でなくとも誰でも利用でき,何でも扱う普通の店になってしまったようにも見える.
それらの思想は,日本では,NPOが生協に肩代わりされたか,それとも必要が無くなってしまったのだろうか.
一方で,形のある世界自然遺産ですらモノや風景だけでは認定されず,史跡の形で人類の思想や生き方が含まれていなければならない.
ましてユネスコの無形文化遺産では,単なる職人芸ではなく,慣習,表現,知識,社会などの文化空間が背景には必要なようだ.
昔,ゲマインシャフト(家族・集落共同体)とかゲゼルシャフト(会社)という語を習ったような気がするが,今でも規則や思想を好むドイツでは日本と異なり,「協同組合」と「ユネスコの無形文化遺産」が結びつく要因が存在するのであろうか.また,それらは現代の日本が忘れてきたものなのであろうか.
ドイツで研究に携わり日本では協同組合学会の会長を務めた講師に聞く.
■講師:関 英昭(青山学院大学名誉教授)
■懇親会 明治大学アカデミーコモン1階の「カフェパンセ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.セミナー後に懇親会場にて受付.参加会費は 3,000円,学生は半額
次回予定:2018年6月27日(水)