「よく分かる材料力学」 - 設計・生産技術者のための基礎講座 第29回 –
開催日 2018年7月30日(月)
趣 旨 最近は3次元CADと有限要素法を組み合わせたCAEによって,機械・機器・装置の設計効率を高める試みが日常となりつつあります.このことは,一人のエンジニアに幅広い知識を要求することになり,その結果,材料の強度を専門としてこなかった設計者が強度についても検討しなければならない状況になっています.また,CAEはコンピュータを扱うことから,比較的若いエンジニアに託される傾向にありますが,機械工学という学問領域は多岐にわたるため,現在必要とされる知識が学生時代に修得したものと一致しない場合もあります.こうなると,独学でそれらの知識を修めなければなりません.特に有限要素解析においては情報を入力すれば必ず解が得られるという利便性がありますが,その解の妥当性を検討するためには材料力学,弾性力学や破壊力学等の知識が欠かせません.ちょっとした境界条件の相違で解が大きく変わることは,しばしば経験することです.つまり,これらの学問体系をある程度修得しておかなければ,知らないうちに設計ミスを犯す可能性を秘めているのです.
本講習会は独学でこれらの知識を習得しようと考えているエンジニアの助けになるものです.講師は現役の大学教員で材料力学を担当している方々です.大学の講義ほど十分な時間は取れませんので,この講習会がこの分野の学問を勉強するためのきっかけ(導入)となるように配慮しました.「学生時代に材料力学は苦手だったけれど…」,「当時はいったい何の役に立つのか分からなかったけど,こんなことになるなら….」等,もう一度,材料力学を勉強したい(しなければならない)エンジニアの方々のご参加をお待ちしています.
題目・講師 (司会 牛島 邦晴)
10.00–10.50 (1) 応力・ひずみの説明/直線棒の引張・圧縮
力・モーメントのつり合い条件(平衡条件),不静定問題とその解き方,応力・ひずみとは何か,引張り・圧縮問題における応力と変形について,例題を交えながら説明する.
芝浦工業大学工学部機械工学科 准教授 坂上賢一
11.00–11.50 (2) 直線梁の曲げ その1
材料力学で取り扱う直線梁,梁における曲げモーメントとせん断力の符号の約束,曲げモーメントとせん断力のつりあい,曲げモーメントによる応力と変形について説明する.
芝浦工業大学工学部機械工学科 准教授 坂上賢一
13.00–13.50 (3) 直線梁の曲げ その2
断面二次モーメントの求め方,たわみの求め方,重ね合わせの原理を用いた様々な梁問題の計算について,例題を交えながら説明する.
芝浦工業大学工学部機械工学科 准教授 坂上賢一
14.00–14.50 (4) 軸のねじり
せん断応力とせん断ひずみ,ねじりモーメントによる応力と変形,引張・曲げ・ねじりの統一的理解(解き方のまとめ)について,例題を交えながら説明する.
芝浦工業大学工学部機械工学科 准教授 坂上賢一
15.00-15.50 (5) 柱の座屈
柱が圧縮荷重を受ける時に生じる座屈現象等について述べ,柱の設計手法について,例題を交えながら説明する.
金沢大学理工研究域フロンティア工学系 准教授 樋口理宏
16.00–16.50 (6) 組合せ応力
組合せ応力状態を考えることの重要性を述べ,その中で特に平面応力状態にある物体内の任意断面での応力の求め方を説明する.
金沢大学理工研究域フロンティア工学系 准教授 樋口理宏
定 員 60名,申込み先着順により定員になり次第締め切ります.
教 材 教材のみご希望の方には,1冊につき会員2 000円,会員外3 000円にて頒布いたしますので,代金を添えてお申し込み下さい.講習会終了後発送いたします.なお,本講習会終了後は教材を販売いたしません.入手ご希望の方は本行事にご参加いただくか,または上記と同様の方法にて開催前に事前予約申込みをお願いいたします.
その他 本講座では大学学部教養課程で修得する微分・積分に関する基礎知識を必要とします.また,演習の際に,べき乗や対数の計算ができる電卓が必要となる場合がありますのでご持参下さい.