イブニングセミナー(第214回)端度器とレーザーの波長
U R L http://www.jsme.or.jp/tsd/
企 画 技術と社会部門
開催日 2018年1月31日(水)18:00~20:00
会 場 明治大学 理工学部 駿河台キャンパス(アカデミーコモン 8階308F教室)
趣 旨
技術はいま,資源,環境問題をはじめ,巨大化とブラックボックス化による人間疎外の傾向に関して多くの批判にさらされている.技術が受け入れられて発展するのも,拒絶され衰微するのも,また技術者の社会的地位のあり方も,社会との深い関わりの中にあることは明らかである.
われわれが新しい時代を担う責任ある技術者であろうとするならば,人間についての深い洞察を持つとともに,社会の動きを正しく見極めなければならない.技術と人間,技術と社会の関わりについて現状を理解し,将来を展望することを目的とする.
講演テーマおよび講師
大昔には王様の指や足の長さが基準とされ,技術の発達により詳細な測定が行われるに従い,世界共通で変化が無く精密な長さの基準が必要とされてきた.
「須賀コレクション」として,測定器の発展史上重要な欧米の古い製品の収集を行っている一方で,精密測定に関する講演を世界中で行い,米国各地での講座だけでも受講者数が1万人に達するという講師が,長さの基準の端から端まで全てを語る.
・測定は比較測定に始まり,比較測定に終わる.
・したがって,基準器の正確さが測定の値を左右する.
・長さの基準であるゲージブロック(端度器)は物理的なコンスタントであるレーザーの波長によって校正される.
・しからば,その波長とはどの程度に信頼できるのであろうか?
- メートルという長さの単位を提唱したフランス革命時代における7年間の努力
・ルイ14世の時代のカッシーニによるフランス全土の地図を再測定する
・パリを経由するダンケルク(北端)からバルセローナ(南端)までの三角測量
・端度器ではなくて線度器であった日本のフランス製メートル原器:22番
- 長さの物理的なコンスタントである光速の測定にチャレンジした多くの人たち
・時の単位(s)が介在する長さの単位(m)の定義
・光速を測ってノーベル賞を受賞した米海軍出身の科学者マイケルソン
- ヨハンソンが発明したゲージブロック(端度器)のトレーサビリテイー
・633ナノメートルのレーザーの波長と比較して校正するゲージブロックの寸法
・軍事目的で開発された(パッカードの回顧録による)HPレーザー干渉計
・時間が経過してもコンスタントに同じ長さを保つレーザーの波長
- その他
・カッシーニ(1625-1712): 土星の環の間隙(Cassini Division)を発見したイタリアの天文学者
・マイケルソン(1852-1931): アメリカ人として最初のノーベル物理学賞を受賞(1907)
・ヨハンソン(1864-1943): ゲージブロックの特許保持者,ミクロンの壁を破った最初の人
講 師:須賀信夫 (ミツトヨアメリカ 元副社長 /ミツトヨアメリカ計測学院 顧問)
懇親会 明治大学アカデミーコモン1階の「カフェパンセ」にて,講師を囲んで懇親会を行います.懇親会参加費3,000円,学生1,500円.セミナー終了後に懇親会場にて受け付けます.
次回予定
第215回 2018年3月28日(水)18:00~20:00
テーマ:錯覚から学ぶ「見る」ことの偉大さと危うさ
講師:杉原厚吉(明治大学特任教授)